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日本の魅力って何? 【ジャパノロジー(日本学)】で自国の文化を研究する。

海外から見た日本のイメージといえば、「富士山、サムライ、忍者、サクラ」などが挙げられるでしょう。しかし日本人から見ると「それは日本の文化のごく一部」といいたくなるのでは? ですが、そもそもみなさんは自分が暮らす日本についてどれくらい理解しているでしょうか。今回は、日本の文化を研究するジャパノロジー(日本学)について解説します。

「ジャパノロジー」とは?

日本の文化は世界的に見ても独自といえます。そういう「日本の文化」、あるいはもっと広く「日本の文明」について研究するのが「ジャパノロジー」「日本学」です。

アニメの高校生活、海外の人たちは事実と思っている?

中には「日本で生まれ育ったんだから、よく知っている。改めて研究するなんて」と考える人もいるかもしれません。ですが、海外で生まれ育った外国の人に、日本の文化を正しく説明しようとすると、意外に難しく感じるのではないでしょうか。

例えば、世界的に有名な日本文化のひとつにアニメーション「ジャパニメーション」があります。日本のアニメを通して「日本の文化」に興味を持つようになった海外のアニメファンもたくさんいます。

ところが「日常の高校生活」を舞台にしたアニメを見ている外国人には、「このアニメで描かれている高校生活は本当のことなの?」と不思議に思っている人も少なくないようです。といっても、「宇宙人や未来人が転校生としてやってきて大騒動を巻き起こす」みたいな展開を見て、「こんなこと、本当にあるの?」と疑問を呈しているわけではありません。

海外には、高校で文化祭や体育祭のようなイベントを行わない国もあるようで、そのようなイベントシーンを見て「本当に日本の学校では、こんなことをしているのだろうか」と不思議に思いながら画面を見ているとのことです。

もし海外のアニメファンに「日本の高校生は、本当はどんな学校生活を送っているの?」と聞かれたら、どう答えればいいのでしょうか? そう、みなさんが日々過ごしている「日本の高校文化」でも、正しく理解し、人に説明するのはとても難しいことなのです。

そして、自分たちの文化を改めて見つめなおすことで、新しい発見、感動が得られるのではないでしょうか。

ジャパノロジーで扱う研究テーマ

ジャパノロジーでは、いろいろな視点、テーマから日本の文化、文明について研究することになります。

日本の生活文化や民俗

日本人が好きなものとして挙げられるのが、お風呂や温泉です。バスクリン「入浴の歴史」によると昔は、お湯に入るのを「湯」と呼び、「風呂」という言葉は蒸し風呂、つまりサウナのようなものを指していたそうです。今のように家の中にお風呂がある「内風呂」が一般的になったのは昭和の時代だとか。

多くの方は「日本人は昔から毎日お風呂に入っていた」と思いこんでいたのではないでしょうか。その他にも、意外に知らない生活文化の歴史がありそうですね。

入浴の歴史 日本編:バスクリン
https://www.bathclin.co.jp/happybath/%E5%85%A5%E6%B5%B4%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2-2/

日本の歴史、宗教や思想

日本の仏教は、仏教の発祥地であるインドや、日本が学びに行った中国の仏教とは異なるところがあります。例えば、山伏(修験僧)が山中で修行する山岳仏教、神道と結びついた神仏習合などは日本特有のものといえます。

また日本では故人をしのんでお盆、三回忌、七回忌などを行いますが、もともとの仏教では四十九日を過ぎると輪廻(りんね)転生、つまり別の生き物に生まれ変わるという考え方なので、○回忌のようなものはないそうです。

そう考えると同じ仏教でも、祖先とのつながりを大切にする日本の仏教はかなり独特なのかもしれません。

身の回りにある当たり前も「ジャパノロジー」

他にも、演劇や歌舞伎、能、歌謡曲などの芸能、小説や詩歌、古典などの文学、絵画やアニメ、ファッションなどの芸術、相撲や剣道、弓道などの武術、茶道や華道、礼儀作法、日本建築など、さまざまなものがジャパノロジーの研究対象になります。

ただ日本の文化というと「日本だけが持つ特異な面」に目が行きがちです。一昔前の外国から見た日本のイメージといえば、ステロタイプに「富士山(フジヤマ)、芸者、サムライ、忍者、すし、天ぷら、サクラ」などが挙げられていたものです。

確かに、それらは日本の文化の一要素ではありますが、全体像ではありません。学問として追求するなら、特異な点だけでなく、身の回りの身近な文化についても科学的にアプローチすることが必要なのです。

身の回りにある普通のもの、毎日何気なく使っているもの。そういうものは、当たり前すぎて、私たちの意識に残らないものです。しかし、そういうものの積み重ねが、文化、文明へとつながっていくのです。

国際化、グローバル化には、自らのアイデンティティーを知ることは重要

ジャパノロジーという学問は、もともと外国人が日本について研究しはじめたことが起源のようです。ウィキペディアでは以下のように説明されています。

「16世紀に日本にやってきたキリスト教の宣教師が見聞をまとめたことに始まり、江戸時代には歴代のオランダ商館長(カピタン)たちが研究を進めた。幕末期の1855年にはヨハン・ヨーゼフ・ホフマン教授によってオランダ・ライデン大学に最初の日本学科が設立された。」

日本学:ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6

異なる文化がまじりあうとき、相手の文化、そして自らの文化に興味が湧くのでしょう。現在はコロナ禍で人の交流は減少しているものの、これからの社会は国際化、グローバル化がさらに進むことは間違いないでしょう。他の国の人々とコミュニケーションする、相手を理解する際には、日本人が自分たちの文化、アイデンティティーを理解することも重要になるはずです。

『ジャパノロジー、日本学』を学べる大学の学部、学科

ジャパノロジーを扱う学部は、文学部や人文学部となります。上智大学 文学部の横断型人文学プログラムでは「ジャパノロジー・コース」を設けています。浦和大学大手前大学のように「ジャパノロジー入門」という授業を行っている大学もあります。

上智大学 文学部「横断型人文学プログラム ジャパノロジー・コース」
https://www.sophia-humanities.jp/ihp/course_japanology.html

浦和大学 こども学科「授業紹介」
http://www.urawa.ac.jp/course/child-studies_study.html

大手前大学 「ジャパノロジー入門」
https://dec.otemae.ac.jp/curriculum/curriculum_detail.php?id=281

また日本学と名の付くものとしては「文化相関・地域文化系 日本学コース」を持つ神戸大学大学院、「日本学」専修を持つ大阪大学大学院 文学研究科・文学部などがあります。

神戸大学大学院 国際文化学研究科 文化相関・地域文化系 日本学コース
http://web.cla.kobe-u.ac.jp/graduate/course-g/jp.html

大阪大学大学院 文学研究科・文学部 「日本学」
https://www.let.osaka-u.ac.jp/ja/academics/undergraduate-course/f-nihongaku

また似た研究分野としては、国際日本学や、日本文化論もあります。

神奈川大学 国際日本学部
https://www.ccj.kanagawa-u.ac.jp/index.html

<国際日本学部の学び:神奈川大学>

日本文化に興味のある方は、それらについても調べてみて、自分がもっとも研究したいテーマを探してはいかがでしょうか。