今回紹介する大学の研究室は、空気中に存在する汚染物質を浄化する研究に取り組む、工学院大学「大気環境工学研究室」。PM2.5や排気ガスなどを取り除き、空気をクリーンにする技術を研究・開発して社会に提案していきます。
どんな研究をしている? 「大気環境工学研究室」
動画で研究紹介(5分)
エアロゾルなどの汚染物質を効率的に浄化する方法の研究
空気中に存在する汚染物質は、粒子状物質(エアロゾル)とガス状物質(揮発性有機化合物)に大きく分かれます。粒子状汚染物質の大きさは、1nm(100万分の1mm)から100μm(0.1mm)です。空気の汚染は、日本だけでなく世界の国々でも問題になっています。それぞれの環境に応じた空気浄化技術を開発することは、世界の人々が安心して暮らせる環境をつくることにつながります。
大気環境工学研究室では、住宅やオフィス、工場の中など、様々な環境に存在する汚染物質を効率的に浄化できる方法を研究しています。まずそれぞれの環境で、どのようにして空気が汚染されていくか、その過程を詳細に調べることが必要です。その上で、どのような場所に浄化装置を置くか、どのような技術を使えば低コストで効率的な浄化装置ができるかを研究していきます。
学生が語る研究室の魅力
「環境問題に興味があったので、受験時に環境化学科を選択しました。授業を受けていく中で、環境問題の中でも特に大気汚染への関心が強くなったのでこの研究室を選びました。研究室では、プリンタから発生し、健康問題の原因となるUFP(超微粒子)を除去するフィルターの性能評価を行っています。一つひとつの実験結果に基づいて先生と検討しながら評価し、結果をまとめていくことが楽しいです」(修士1年)
「電子機器に用いられている基板の表面上に付着した微粒子を、実装前に効果的に除去するための研究に取り組んでいます。微粒子が付着してしまうと性能劣化などが起こってしまうので、それを防ぐための研究です。微粒子は肉眼では確認しづらく、湿度の影響も受けやすいので研究は難しいですが、人々がより快適に暮らせる環境を作るために貢献したいと思っています」(修士1年)
先生紹介(工学院大学 並木先生)
並木則和先生は、どんな先生?
「毎朝、天気の良い日は八王子駅からキャンパスまで徒歩で1時間ほど歩きます。山を遠くから眺めることが好きで、日々少しずつ変化していく自然を五感で感じています。学生や同僚との食事会なども楽しみです」(並木先生)
「並木先生はイベントが好きなので、研究室のメンバーで鍋会や研究室合宿などを開催します。鍋会などでは研究についてより熱心に話してくれるので、今後の実験の参考になることも多いです」(修士1年)
並木則和先生から高校生へメッセージ
「当研究室では、ある環境の空気がなぜ汚れるのか原因を調べて、その環境に適した空気浄化技術を開発して社会に提案していくことを使命としています。企業との共同研究も多く、自分が行っている研究が直接世の中に役立っていることを実感できます。自然が好きで、自然環境の問題に興味がある学生に来て欲しいです」
卒業後の進路
・2~3割が大学院へ進学
・就職先は、空調設備会社、フィルターメーカー、電機メーカーなど
・大学院修了後は、ほとんどがメーカーの技術開発職
「研究テーマに近い空調関係やフィルターなどを扱うメーカーに就職する人が多いです。2つ上の先輩は、有名な大手空調メーカーに就職しました」(修士1年)
研究室情報
大学名 | 工学院大学 |
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学部・学科 | 先進工学部 環境化学科 |
研究室 | 大気環境工学研究室 |
教員名 | 並木 則和 教授 |
研究キーワード | エアロゾル、揮発性有機化合物、微粒子、PM2.5、排気ガス、エアフィルター、浄化装置 |
URL | https://www.kogakuin.ac.jp/faculty/graduate_school/ma_lab44.html |