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正月の感動イベント!【箱根駅伝】の人気のヒミツに迫る。志望大学を応援しよう!

大学のプライドを背負って、たすきをつなぐ「箱根駅伝」。毎年テレビでも高視聴率を獲得するなど、ファンが多いイベントです。「これまでじっくり見たことない」という人にこそ知ってもらいたい「人気のヒミツ」を解説します。

お正月の風物詩「箱根駅伝」

お正月の恒例行事のひとつに「箱根駅伝」があります。残念ながら2021年以降、新型コロナウイルス感染症の影響でコース沿道での応援は難しい状況にありますが、テレビでは毎年高視聴率を記録し、必ずテレビで見るという熱狂的なファンも多くいます。

一方でまったく興味がわかないという人も少なくありません。「ずっと走っているところを見て何が楽しいの?」と思っているかもしれないみなさんに、なぜ箱根駅伝がここまで人気があるのか、見どころや魅力に迫ります。

そもそも「箱根駅伝」とは? 簡単におさらい

まずは簡単に大会の概要をおさらいしておきましょう。

「箱根駅伝」は略称で、正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」。関東学生陸上競技連盟が主催する駅伝の競技会です。出場できるのは、あくまで加盟校のみに限られ、全国の大学が出場できるわけではありません。

最初に開催されたのは大正9年。西暦では1920年となり、すでに100年以上の歴史を持つ大会です。第2次世界大戦中に一時中断されましたが、その後復活して2022年で98回を迎えます。

東京大手町と神奈川県の箱根町にある芦ノ湖を結ぶ往復217.1キロメートルを1月2日、翌3日の2日間で走破します。往路(107.5キロメートル)復路(109.6キロメートル)いずれも5区間にわかれており、1区間は約20キロを10人で「たすき」をつなぐのです。

出場チームは、前年の上位10チームと予選を突破した10チーム、選抜メンバーの関東学生連合チームによる21チーム。

古代からある宿場と宿場を人や馬でつなぐ「駅馬・伝馬」制度をヒントに名付けられたという「駅伝」という言葉は、日本発のスポーツとして昇華され、「Ekiden」として英語にもなっています。そのなかでも人気が高いのが「箱根駅伝」なのです。

「宿駅伝馬制度」って、なんのこと?

バラエティー番組中心の正月に、異色のノンフィクションドラマ

お正月のテレビ番組といえば、新年を祝う派手なお笑い番組や新春ドラマが中心となっています。いくらバラエティーが好きでも、2日目となってくると少し飽きてくるころです。

そこに趣向が異なる番組として「箱根駅伝」があります。読売新聞社が共催しており、毎年読売テレビ系列で全国に生中継されています。

新春の凛とした空気のなか、大学生が一心不乱に駆け抜ける一大イベントは、バラエティーとはまったく趣向が異なる「ヒューマンドラマ」が待っているのです。

<YouTube日テレ公式:第98回箱根駅伝「さあ、山を越えて」>

見どころはチーム戦から生まれる「駆け引き」

とはいえ、競技時間は片道5時間強にもなります。走っている姿を5時間以上見ていれば、いくらなんでも飽きてしまうのではないか、との声も聞こえてきそうです。なぜ多くのファンを引きつけるのか、もう少し迫ってみましょう。

どんどん順位が入れ替わる「デッドヒート」

まずなんといっても、駅伝のおもしろさは「チーム戦」だということでしょう。

運動能力が参加者それぞれ異なるのはもちろんですが、先行逃げ切りが得意な選手、後ろからグイグイと追い抜くのが得意な選手など、さまざまな選手がいます。大学のなかには、アフリカ地域から訪れた強力な外国人留学生をメンバーに招集しているケースもあります。

各大学の監督は、他チームの戦略を予想しつつ、各選手の特性を最大限に引き出すオーダーを考えなければ勝利することはできません。

全体を見ると長丁場のレースとなりますが、1区間は約20キロメートルであり、各選手が全力を尽くすため、順位の入れ替わりも少なくありません。抜きつ抜かれつのデッドヒートに、観客も手に汗握ることとなります。

その象徴ともいえるのが「ごぼう抜き」です。下位を走っていたチームが一気に複数チームを追い抜き、上位に躍り出るドラマチックな展開です。2009年の第85回大会では、日大が1区間で20チームを抜き去り、22位から2位へと躍進する大記録を成し遂げました。

<YouTube日テレ公式:【箱根駅伝 10区間がまるわかり!】第85回箱根駅伝>

変化に富んだ特長あるコースがドラマを演出する

特に箱根駅伝は、変化に富んだ特長あるコースが、レースの駆け引きのおもしろさを際立たせています。

大手町から品川を超えて鶴見を通り、横浜など大都市を駆け抜けます。さらに勾配がきつい権太坂といった難所を越え、海風が強い湘南海岸などを走り抜けて小田原に望みます。

特に往路最後の5区はクライマックスです。小田原から芦ノ湖まで高低差834mを一気にかけ上がります。

とても過酷なコースですが、一方でめっぽう上り坂に強い「山の神」などと伝説を残す選手が走ることもあります。見ているだけで疲れるようなきつい勾配をグイグイ進み、どんどん順位を上げていく姿は、ただただ驚くばかりです。

残酷な「チーム戦」だからこそのヒューマンドラマ

「たすき」には、次の選手につなぐという重い「責任」も託されています。順位をいかに上げるかも重要ですが、それ以前に途中棄権となれば「たすき」が途絶えてしまうのです。

残酷なこのシステムにおいて、苦しいなか、なんとかたすきをつなぎたいという選手の思いから大きなドラマが生まれます。

上位を走っていたところ、緊張のため体調を崩してブレーキとなってしまったり、途中で体を痛めてしまい、やむを得なく棄権となってしまうこともあります。

またタイムリミットもあるのです。たすきをつなぐ各中継所は、トップ通過から一定時間が経過すると、強制的にスタートさせられる「繰り上げスタート」が導入されています。あと十数メートル、時間にして数秒足りずに繰り上げスタートとなってしまい、たすきが途絶えることも少なくありません。

「ごぼう抜き」をして大活躍したり、区間賞を取った選手の喜びと、棄権や繰り上げスタートでたすきをつなげず、涙を飲む選手が入り交じります。

トップ争いだけでない、10位圏内目指す熾烈(しれつ)な争いも

往路、復路での優勝や、総合優勝という名誉を目指して選手は走りますが、実は別の争いもあります。翌年に出場するための「シード権」を獲得するための争いです。

10位以内に入れば翌年の出場が確定しますが、11位以下は、過酷な予選を突破しなければならなくなります。そのため10位と11位には、たったひとつの順位の差ですが、雲泥の差があるのです。

<YouTube日テレ公式:第98回箱根駅伝予選会結果発表>

出場に向けて大学では学術的な研究も

テレビ画面では伝わりにくい部分ですが、大学駅伝ということもあり、「箱根駅伝」は大学の研究テーマにもなっています。

例えば、1989年以前は上位成績の常連だった筑波大学は、箱根駅伝への再出場を目指して「箱根駅伝復活プロジェクト」を立ち上げ、科学的な知見から選手のトレーニングなどにも取り組んでいます。

また東海大学では、箱根駅伝選手における自律神経活動と成績の関係に関する論文を出していますし、順天堂大学からは、箱根駅伝出場に向けた組織マネジメントに関する論文が発表されています。

筑波大学:箱根駅伝復活プロジェクト
http://tsukuba-hakone.win/

2022年の箱根駅伝を制するのはどこの大学か

2021年の97回大会の覇者は駒澤大学で、創価大学、東洋大学と続きました。2022年はどのようなドラマが待っているのでしょうか。今年の出場チームは以下のとおりです。自分の目指す大学などもあれば、ぜひテレビの前で応援しましょう。

第98回東京箱根間往復大学駅伝競走
https://www.hakone-ekiden.jp/