大学の選び方

【学部・修士課程一貫教育プログラム】大学4年で修士号まで取得できる?! 大学在学中に大学院の科目を履修

大学で取得できる学位は「学士号」で、その後2年間の修士課程を経て「修士号」を取得します。大学在学中に大学院の科目を先行して履修するなど、学部と修士課程を連携させることで、通常より短期間で修士号が取得できるのが「学部・修士課程一貫教育プログラム」です。複数の大学が実施している同プログラムについて紹介します。

「学部・修士一貫教育」とは

学校教育法により、「大学の学部(学士課程)は4年、大学院の修士課程は2年」と年限が定められています。通常ならば学士課程と修士課程を修了するのに6年を要しますが、学部と修士課程を連携させて、4年から5年の一貫教育で学士と修士の両方の学位を取得できるようにするのが「学士・修士一貫教育」です。

仕組みは大学によって異なり、学部の4年時に大学院修士課程の科目を先行履修することで、修士課程まで5年で修了できるケースや、学部を3年間で終えて大学院の修士課程を2年で修了するケースなどがあります。

制度を活用したのが「学士・修士一貫教育プログラム」

「学士・修士一貫教育」の制度を活用し、通常の6年より短い期間で学士課程と修士課程を修了することができる仕組みを設けている大学が複数あります。その仕組みが「学士・修士一貫教育プログラム」です。

目的は大学院進学の後押し

学部・修士一貫教育プログラムを大学が採用し始めた背景には、大学院進学者の減少があります。そこで大学院進学の時間的負担、経済的負担を軽減することで、大学院進学者を増やそうというのが狙いのひとつです。

また、優秀な学生に短期間で修士号を取得してもらい、早く社会に出て活躍してもらいたいという目的や、学部在学中から専門的能力の養成を目指すという目的もあります。

「大学卒業後も、さらに研究を深めるために、大学院進学も想定しておきたい」と考えているなら、学部・修士一貫教育プログラムも頭に入れておきましょう。

「学士・修士一貫教育プログラム」を導入している大学

大学によって、学士と修士の学位を4年で取得できるパターンや、5年で取得できるパターンなどプログラムの内容に違いがあります。また、プログラムを履修するには資格者選抜試験を受けて合格する必要がある場合もあります。いくつかの大学の取り組みを紹介します。

慶應義塾大学「学部・大学院修士4年一貫教育プログラム」

総合政策学部または環境情報学部の学士号、大学院政策・メディア研究科の修士号、その2つの学位を4年間で取得できます。

大学1年在学時に認められれば、第2学年からプログラムに参加できます。通常は、学士課程4年と修士課程2年の6年で修了しますが、学士号と修士号を学士課程3年、修士課程1年の4年間で取得できます。

<詳細>
https://www.students.keio.ac.jp/sfc/pmei/procedure/4yr-integrate-pgm/index.html

一橋大学「学部・大学院修士課程5年一貫教育プログラム」

5年間で社会学部の学士号と大学院社会学研究科の修士号が取得できます。社会学部と大学院社会学研究科に設置されています。

その条件として、大学3年在学中に「プログラム履修資格者選抜試験」に合格する必要があります。合格すると、大学4年で大学院の科目を先行履修できます。そして、大学修了後に学院社会学研究科に入学すると、1年間で修士号を取得することも可能になります。

<詳細>
https://www.soc.hit-u.ac.jp/educations/5years/

武蔵野大学「学部・修士課程一貫プログラム」

大学4年時(薬学科については6年生)に、大学院の科目を先行履修することで、大学入学後最短5年で修士号を取得できます。経営学部ガバナンス学科、人間科学部人間科学科、薬学部薬学科で実施されています。

学部生の時から高い専門性を身につけることができるほか、修士課程に2年間在籍するより学費を抑えることができるというメリットがあります。

<詳細>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000067788.html

帝京大学「学部・修士5年一貫プログラム」

通常は6年かかる大学と大学院修士課程を、5年間で修了できます。経済学部と法学部で、成績が一定以上の優秀な学生を対象としているプログラムです。

大学4年次に、経済学部の学生は大学院の経済学研究科各専攻、法学部の学生は法学研究科法律学専攻の科目を履修することが可能となります。大学を卒業した後は修士課程に入学し、残りの単位を修得、修士論文を提出することで、修士課程を通常の2年ではなく1年間で修了することができます。

<詳細>
https://www.teikyo-u.ac.jp/studentlife/edu_support/program

九州大学「学部・学府一貫教育プログラム」

4年次前期から学部・学府共通科目の履修が認められ、さらに大学院経済学府修士課程の特別選抜試験に合格すれば、最短5年で学士と修士の両方の学位を取得することが可能です。

経済学部に設置され、成績が特に優秀な学生、もしくはゼミ指導教員の推薦を受けた学生を対象としています。その目的として「専門研究者や専門職を目指す意欲のある学生を早期に選抜し、学部と大学院を貫いて育成」することを挙げています。

<詳細>
https://www.econ.kyushu-u.ac.jp/wp-content/themes/keizaigakubu/dl/common/ikkan_program.pdf

東京理科大学「6年一貫教育コース」

学部4年と修士2年を連結した「3年+3年」の6年一貫教育を提供するものです。応用生物科学科、先端化学科で導入されおり、今後他の学科も検討中とのことです。
大学4年生から大学院修士課程までの3年間を一貫させたカリキュラムになっており、学士号は大学4年生の卒業時、修士号は修士課程修了時に授与されます。

学部4年生から大学院の授業を受講できるので、大学院では研究に集中することができます。また、時間の余裕を使い短期の海外留学なども可能になります。

<詳細>
https://www.tus.ac.jp/news/resonance/research_education/consistent_course.html

奈良女子大学「文学部・文学系6年一貫教育プログラム」

学部の4年と大学院修士課程2年の6年間を一貫した教育として捉えて柔軟に活用するもので、学部生の間に大学院の科目を先行履修(大学4年次から大学院の科目を10単位まで履修)できます。

6年間にわたる、長期留学やインターンシップ、長期にわたるリサーチなど、通常の課程では難しい長期的な研究などに挑戦できるようにしています

<詳細>
https://www.nara-wu.ac.jp/bungaku/new20206yrs.pdf

大学院進学を目指すなら大学選びの条件に

このように学部・修士一貫教育プログラムは、大学院進学のハードルを下げるものでもあるといえます。将来、大学院に進学して専門的な学問を修めたいと考えている高校生は、こうしたプログラムを提供している大学を、大学選びの条件のひとつに入れてみてはどうでしょうか。