大学の選び方

コロナ禍で留学どうなる?【大学の国際化促進フォーラム】発足で大学の国際競争力を強化!

大学教育の国際化推進や、大学の国際競争力強化を目的とした「大学の国際化促進フォーラム」が、文部科学省において発足しました。その背景には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、留学生が減少したことなどがあると推測されます。大学の国際化促進フォーラムを軸とした各大学の取り組みやプロジェクトも含めて紹介します。

「大学の国際化促進フォーラム」とは

文部科学省では、世界トップレベルの大学との交流実現、教務システム改革などの体質改善、学生のグローバル対応力育成のための体制強化など、国際化に取り組む大学を支援する「スーパーグローバル大学(SGU)創成支援事業」を2014年度から2023年度の予定で実施しています。

SGU事業が残り3年となり、ポストコロナに向けて大学の国際化や競争力の強化をさらに図るため、SGU採択大学を中心に2021年に発足したのが「大学の国際化促進フォーラム」です。

大学の国際化促進フォーラムではSGU大学が代表幹事校となります。代表幹事校は、フォーラムの取り組みが大学の国際化促進と国際競争力強化に向けた取り組みにつながるよう方向性を示し、フォーラムに参加する大学を束ねるという役割を担います。

また幹事校は、代表幹事校をサポートしつつ、各大学がプロジェクト課題を設定してそれに取り組み、その成果を発信する役割を担います。

国際化を推進する背景には留学生の減少

文部科学省が大学の国際化を進めようとする背景には、海外に留学する日本人学生と、海外から留学する外国人留学生の減少があると考えられます。

日本学生支援機構が実施している「日本人学生留学状況調査」によると、2019年度に海外の学校へ留学した日本人学生は10万7346人で、2018年度に比べると7800人、6.8%の減少となりました。

また、「外国人留学生在籍状況調査」によると、2020年5月1日時点の外国人留学生は27万9597人で、2019年度に比べると3万2617人、10.4%の減少となりました。

外国人留学生在籍状況調査
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1412692.htm

減少の背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大があります。日本を含む世界の各国が、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、外国人の入国制限を行ったことで、やむを得ず留学を中止したり延期した人が多かったということです。

留学生が減れば、その分、海外の学生と交流する機会も減ってしまいます。それは、大学の国際化にマイナスの影響をもたらすことになります。こうしたことから文部科学省では、ポストコロナを見据えて、大学の国際化促進フォーラムを発足し、大学の国際化を後押しする施策を打ち出しました。

各大学の取り組み

大学の国際化促進フォーラムでは、幹事校となった各大学によるさまざまなプロジェクトが行われています。その内容を紹介します。

明治大学

プロジェクト名「海外拠点×オンライン×実留学のグローバルシナジー・モデルの構築」
https://www.atpress.ne.jp/news/268358

2021年度から2025年度の5年間に実施。まずオンラインを通じて、アジア、欧州、北米、オセアニアなどにある海外の協定校との学生交流プログラムを拡充。その国の文化や歴史をテーマにオンラインで交流します。時差を活用した多様な選択肢が可能なのも特徴です。実際の留学が再開された後は、集合型の交流を実施して、オンラインと実際の留学の相乗効果が期待できるようなモデルの構築を目指すほか、学生に合った留学先選びを支援します。

法政大学

プロジェクト名「大学間協働による学生国際交流プラットフォーム構築」
https://www.hosei.ac.jp/info/article-20210720142101/

オンラインでの海外大学生との日常的な交流を目的としたものです。大学や国境を超えた交流の場として「学生国際交流プラットフォーム」をウェブ上に構築。学生によるオンライン交流会の開催や、各大学における交流会情報の共有、学生生活動画の発信などを行います。オンライン交流会では、グループトークやセミナー、体験型ワークショップなどを企画しています。

芝浦工業大学

プロジェクト名「イノベーション創出のためのグローバルPBLの横連携・展開」
https://www.shibaura-it.ac.jp/news/nid00001757.html

グローバルPBLは、海外協定校の学生とプロジェクトチームを結成して、工学的な課題を解決するワークショップです。さまざまな国のチームメイトと英語で議論を交わしながら、課題を解決していきます。芝浦工業大学は、このグローバルPBLにおいて豊富な実績があり、その経験と幅広い理工学系ネットワークをもとに、国内大学や海外大学とのグローバルPBLの共同実施を進めます。

留学生との交流や留学に積極的な人はチェックしておこう

このようなプロジェクトは、海外の大学との連携や学生との交流を深めることによって、コロナ禍で後退してしまった大学の国際化を進めようというものです。大学に入ったら、海外の学生と一緒に勉強したり議論を交わしてみたいと思っている人、新型コロナウイルス感染症の影響が終息したら海外留学したいと考えている人などは、各大学のこうした取り組みを頭に入れて、大学選びを考えるといいかもしれません。