大学受験の基礎知識

【大学受験費用】だけで平均30万円超?!無駄を省く上手な節約方法は

大学受験には、受験料はもちろん、願書の費用、試験会場までの交通費、遠方で受験する場合の宿泊費まで、さまざまなお金がかかります。何にどのくらいかかるのかを確認するとともに、受験費用を上手に節約する方法を知っておきましょう。

そもそも受験にはいくらかかるのか?

受験に直接かかるお金は、主に受験料(入学検定料)になります。それに加えて、願書請求・出願や書類の送付にもお金がかかります。人によっては、遠方の大学を受験する場合の、高額な交通費や宿泊費が必要になることもあります。

受験だけで総額30万もかかる?!

日本政策金融公庫の調査(2020年公表)によると、大学受験の際にかかるお金(受験費用)の平均額は30万〜35万となっています。

受験費用の平均額

大学種別 受験費用の平均
国公立大学 30.5万円
私立大学 文系:35.5万円
理系:31.9万円

教育費負担の実態調査結果:日本金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r02.pdf

かなり高額という印象を持つ人も多いのではないでしょうか。実は、この金額には、遠方の大学を受験する場合の交通費や宿泊費、いくつもの大学を併願するケースなども含まれていますので、実際の受験費用は人によって、もっとばらつきがあると考えたほうがよさそうです。

1回あたりの受験料、国公立1.7万円、私立3.5万円

1回あたりの受験料も確認しておきましょう。受験料は、大学や学部、受験方法によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

受験料(検定料)の目安

大学種別 受験費用
共通テスト※ 1万2000円(2教科以下)
1万8000円(3教科以上)
国公立大学 1万7000円
私立大学 3万5000円
5万~6万円(医歯薬系学部)

※共通テストで成績通知を希望する場合は、それぞれ800円追加

2021年度から大学入試センター試験に代わって「大学入学共通テスト(共通テスト)」が実施されます。共通テストを利用する場合は、大学ごとの受験料に加えて、別途共通テストの受験料が必要です。

例えば、国立大学1校と私立大学4校の計5校を受験した場合の受験料の例は、以下のようになります。

大学種別 受験費用
共通テスト(3教科以上) 1万8,000円
国公立大学 1万7,000円
私立大学(3校) 10万5,000円(3万5,000円×3校)
私立大学(共通テスト利用:1校) 1万8,000円
受験料の合計金額 15万8000円

もちろん、受験する大学・学部が増えたり、交通費や宿泊費が加算されれば、その分総額が高くなります。

【願書代の節約】 私立はWeb出願で無料に!

受験費用は、受験料、交通費・宿泊費などの旅費、願書のいずれも、工夫次第で節約が可能です。なかでも簡単に節約しやすいのは願書です。国公立大学では無料ですが、私立大学では1通1,000円程度かかるところもあります。

ところが『Web出願』を利用すれば、願書を取り寄せる必要がなくなるので、願書代は不要になります。Web出願は、大学が指定する専用サイトからインターネット上で出願手続きをする方法です。

Web出願をしない場合は1通約1,000円としても5校受ければ約5,000円かかりますが、Web出願が選べる大学なら積極的に活用すれば費用を抑えられます。(必要書類の郵送には、別途郵送料が必要)

さらに、Web出願をすると受験料を割り引いてくれる大学もありますので、受験を希望する大学は出願する前に確認しておきましょう。

【交通費・宿泊費の節約】試験会場を選べば大幅減

交通費や宿泊費は、何度も遠くに出かけて受験するとなると、かなりな金額に上りますが、これも工夫次第で節約は可能です。

『地方受験』を利用する。7割以上の私立大学で設置

志望する大学が自宅から遠く離れていても、高額な交通費や宿泊費をかけずに済むのが、「地方受験」の利用です。地方受験(学外入試・地方入試)とは、大学キャンパス以外にいつくかの場所に試験会場を設けることで、受験生の交通、宿泊に関する負担を下げ、受験機会を増やすためのものです。

一例を挙げると、明治大学の2020年度入試では、「全学部統一入学試験」と呼ばれる試験方式により、東京と神奈川の大学キャンパス以外に、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、北九州の6カ所の地方試験場が用意されていました。

旺文社 教育情報センターの調査によると、2020年度の大学入学試験では私立大学の約71%、国公立大の約30%が地方試験場を設置していました。自分が住んでいる都道府県に試験場がなくても、近隣の都道府県で受けられる可能性は高いといえそうです。

『共通テスト』利用なら私立大学も地元で受験可能

もう一つの方法は「大学入学共通テスト」の利用です。国公立大学の受験には必須の共通テストですが、最近は私立大学でも共通テストのみ、あるいは学部独自の試験との併用で受験できるところが増えています。

共通テストの試験会場は、北海道から沖縄までのすべての都道府県に合計689カ所あります。共通テストの結果だけで合否を判定する受験方式がある大学であれば、地元での受験だけで済みます。

受験シーズンに遠出をするのは、体力的にも負担が大きくなります。地元での受験は、費用面だけでなく健康面からもメリットがあるといえるでしょう。

『GoToトラベル』での節約も(2021年1月まで)

ちなみに、2021年2月1日のチェックアウトまでの宿泊なら、GoToトラベルを活用することで、交通費、宿泊費を大幅に軽減できます。GoToトラベルが終わる前に受験できるなら、検討してみましょう。

【受験料の節約】試験の受け方で半額に!

続いて、受験料の節約術も見ていきましょう。私立大学を受験する場合は、共通テスト、あるいは併願や全学統一方式を利用することで、受験料を抑えられるケースがあります。

複数出願は『共通テスト利用方式』で節約

すでに説明したとおり、私立大学のある学部・学科を個別に受験すると、1校(1出願)につき3万5000円かかります。一方、共通テスト利用方式を利用した場合は、1万5000~1万8000円と個別受験のときより受験料を低く設定している大学が多いのです。

別途、共通テストの受験料(2教科以下は1万2000円、3教科以上は1万8000円)もかかりますが、複数の大学・学部を共通テスト方式で受験しても共通テスト自体の受験料は変わりません。

例えば、個別方式で2つの大学に1学部ずつ出願した場合は7万円かかりますが、共通テスト利用方式の場合は5万4,000円となります。

共通テスト利用方式利用の例:2大学出願

共通テスト利用方式:18,000円+(18,000円×2大学)=54,000円
・個別方式:35,000円×2大学=70,000円

そのため、複数の大学・学部を受験する場合は、個別に受験するより共通テストを利用するほうが受験料の総額を抑えられる可能性があるのです。

同大学での複数出願は『併願割引』で節約

受験料の総額を抑える方法は、他にもあります。その一つが、併願割引です。併願割引とは、「同じ大学の複数の学部・学科を受験する場合には、受験料を割引する」という制度。「志望大学は決まっているけれど、学部は一つに絞り込めない」というときに検討したい方法です。

神奈川大学の例:2出願

併願割引:35,000円+20,000円=55,000円
・個別に出願:35,000円×2=70,000円

また、先ほど紹介した共通テスト利用方式で、併願割引が受けられる大学もあります。例えば、明治学院大学を共通テスト利用方式で受験した場合には、1学科目の受験料は1万5000円ですが、2学科目は1万円になります。

明治学院大学の例:2出願

共通テスト利用方式:18,000円+15,000円+10,000円=43,000円
・個別方式:35,000円×2=70,000円

『全学部統一方式』による割引を設けている大学も

さらに、もう一つ注目したい方法が、「全学部統一方式」を利用する割引です。全学部統一方式とは、1回試験を受けるだけで、同じ大学の複数学部・学科に対して併願できるという受験方法です。この方法を設けている大学の多くは、1つひとつの学部、学科を個別に受験する場合と比べて、受験料を低く設定しています。

例えば、日本大学では、個別に出願すると1出願あたり3万5000円であるのに対し、N全学統一方式(全学部統一方式)では、1出願あたり1万8000円になります。三つの学部を受験した場合、N全学統一方式を利用すれば、半額近くに抑えられることになります。

日本大学の例:3出願

N全学統一方式:18,000円×3=54,000円
・個別に出願:35,000円×3=105,000円

大切なのは志望校合格!募集人数や難易度の確認も

今回は、「受験にかかるお金を節約する」という観点で、さまざまな受験の方法を紹介してきました。しかし、受験のお金を節約できても、最終的に合格できなければ意味がありません。

個別受験方式、共通テスト利用方式、全学統一方式など複数の受験方法を用意している場合、一般的には個別受験方式の募集人数が一番多くなります。また、募集人員が少ないとそれだけ狭き門になり、逆に難易度は高くなる場合もあります。

受験料の総額は抑えつつ、志望大学に合格できるように、自分に合ったやり方をじっくり検討してみましょう。なお、併願割引や全学統一方式などの仕組みは、大学によって大きく異なります。まずは、志望する大学のWebサイトなどで詳細をよく確認することが重要です。