大学スペシャルレポート

在学中に社会とのつながりをリアルに経験できる!【実践女子大学の社会連携プログラム】

企業や自治体と連携し200以上もの社会連携プログラムに取り組んできた実践女子大学。2021年4月には社会連携推進室を立ち上げ、社会と学生との接続を促すための取り組みに力を入れています。
今回は2022年度に行われた学内初の試みとなる産学連携のプログラムに参加させていただき、実践女子大学が取り組む社会連携プログラムの内容やねらいについてお話を伺いました。

レポート! 学内初の産学学連携で行われた社会連携プログラム

<K.UNO × 実践女子大学 × 長岡造形大学 二大学 産学連携プロジェクト2022>

2022年7月、渋谷キャンパスにおいて社会連携プログラムの締めくくりとなる学生によるプレゼンテーションが行われました。国内外に30店舗以上ものお店を展開するオーダーメイドジュエリーの株式会社ケイ・ウノと連携した取り組みで、「ブライダルジュエリー×〇〇」と言うテーマで計14コマのプログラムが展開されました。

ご担当の下山肇先生(文学部 美学美術史学科 教授)によると、社会連携プログラムは共通教育科目に位置づけられているため、文学部美学美術史学科に限らず人間社会学科や生活環境学科といった他の学部・学科の生徒も一緒に参加できるのがひとつの特徴になっているようです。また今回はさらに他大学と連携したことで、これまで取り組んできた社会連携プログラムをさらに拡張させるねらいもあったようです。

「今回の社会連携プログラムの肝はジャンルの中にこだわって掘り下げるよりも広げていくこと」と語る下山先生。新潟県長岡市にキャンパスがある長岡造形大学とZoomでつないでそれぞれの学生によるプレゼンテーションが行われました。

「私はデザイナーなので本来モノを作ることが得意なんですけど、今回は時間的な制約もありテーマに対する問題提起や市場調査の結果などをふまえて、斬新で新しく、かつ学生ならではのリアルな感覚からアイデアを出すところに重点を置きました」と下山先生。

プレゼンの内容はジュエリーボックスといった商品開発のアイデアをはじめ、体験を重視したフェアの提案や推しとソロウエディングという新しい価値の提案、北海道のツアー企画と結びついた提案など幅広く、初めて社会連携プログラムに参加した企業にとっても想定していた以上の内容だったようです。

個人・グループあわせて30近くものプレゼンテーションが行われ、最後は先生による総括と教室でプレゼンを見ていたケイ・ウノさんからも学生に向けたメッセージが贈られました。

「いろんなご提案があって、われわれとしてもいろんな気づきがありました。特にわれわれはブライダルジュエリーを買ってもらうためにどうすれば良いかということに焦点を当てて深く掘り下げていく作業をするんですけど、みなさんのご提案にはブライダルジュエリーそのものの幅を広げるとか可能性を広げるといったようなご提案が多く見られました。(中略)みなさんの生きたご提案はすべてというわけにはいきませんけど、何らかのかたちで消費者の方にも知っていただけるよう協議を進めたいと考えております」と。

自分たちの提案が企業に届いたという実感と、商品化に役立つかも知れないというワクワク感もあり、普段の授業では経験できないような社会との接点を感じられるリアルな学びがありました。

実践女子大学の社会連携プログラムとは?

実践女子大学の社会連携プログラムについて、実践女子学園の理事であり、社会連携推進室部長の周東正紀様と今回のプログラムを担当した下山肇先生にお話を伺い、概要やねらいについて教えていただきました。

在学中から社会との接点を経験できる社会連携プログラム

「実就職ランキング2022」(卒業生数1,000人以上)において全国の女子大学で2位を獲得し、「就職偏差値が上がった大学2021」においてもランキング1位を獲得したことで注目を集める実践女子大学。キャリア教育の一環として取り組みを進めている「社会連携プログラム」にも関心が高まっているようです。そもそも社会連携プログラムとはどのような取り組みを指すのか、社会連携推進室部長の周東正紀様にお話を伺いました。

社会連携推進室部長 周東正紀様

「いま大学と企業の境が無くなりつつあります。本学の社会連携プログラムは社会に出る前に大学4年間で社会との接点をたくさん経験させたいという思いから、企業や自治体と連携して200を超える様々なプロジェクトを立ち上げています。社会連携推進室という組織ができて2年目を迎え、参画する学生も数多くなり積極的に取り組んでくれているので、きっと社会に出てたくさんの学生が活躍してくれるものと考えます」

他者と協働しながらおたがいの良さを認め、さらに発展させる力を身につける

続いて学内初となる産学学連携に取り組んだ下山肇先生に社会連携プログラムのねらいについてお話を伺いました。

文学部 美学美術史学科 下山肇先生

「大学の学びが社会とどうつながるのかというところを具体的に体験してもらうことが社会連携プログラムのねらいです。まずは社会と自分たちの学びがどの部分でリンクしていてどこが足りないのか、デザインという手段を使いながら学んでいってもらうことを私の授業では大切にしています」

「プレゼンテーションをするにあたってスライドを事前に準備したり、初めて会った人とチームを組んで発表したりするなかで、他者と協働しながら自分の良さを発揮することや相手の良さを取り込んでさらに発展させるみたいなことができているんじゃないかと思っています」

インテリア班・ツアー班・プラネタリウム班・擬人化班・時間班・知育班と6グループ計18人によって行われた実践女子大学のプレゼンですが、発表を終えたばかりの学生さんにもお話を伺いました。

【知育班:文学部 美学美術史学科2年 Oさん】

「知育班は文学部美学美術史学科の3年生1人と2年生3人の4人でグループワークを行いました。社会連携プログラムに参加した理由は、下山先生の授業を受けた際に企業と連携した授業があるということを伺い、その企業さんのことは私も以前から知っていたのでとても興味があり受講させていただきました」

美学美術史学科2年 Oさん

「自分で何か企画を考えるということが初めてだったので、かたちにするのが大変だったのですが、ひとつ絵本案を作り上げた時にやりがいや達成感を感じました。企業さんと連携した授業は大学ならではだと思うので、少し大変かなと思う部分もあると思いますが、それよりもたくさんやりがいや達成感を感じられるので入学したらぜひ受講していただければと思います」

【擬人化班:文学部 美学美術史学科2年 Kさん】

「擬人化班は文学部美学美術史学科の2年ふたりでプレゼンを行いました。社会連携プログラムに参加したのは、将来どこかの企業に就いた時に企画を考える力が役立つんじゃないかと考えたからです。」

美学美術史学科2年 Kさん

「推しと結婚するオタ活をテーマにしたソロウエディングの提案で、基本的には私がやってみたいと思ったことを提案したんですけど、先生からのアドバイスや他の学生さんたちにもコメントをもらって、自分には無いような考え方があることにも気づき、客観的に考える力が身に付いたと思います。大学生になっていきなり就活って言われちゃうと難しいかも知れないですけど、社会連携プログラムは社会とのつながりを擬似体験できる社会経験になるのかなと私は思っています。興味があったら参加してみるのも良いのかなと思います」

社会連携プログラムに参加する企業の期待値と感想

社会連携プログラムが学生たちのキャリア教育に生かされる一方で、企業にとってはどのようなメリットや期待感があるのでしょうか。今回初めて社会連携プログラムに参画した株式会社ケイ・ウノの取締役 クリエイティブ本部長 青木興一様にもお話を伺いました。

株式会社ケイ・ウノ 青木興一様

「今回参加させて頂いた理由は二つありました。ブライダルジュエリーというのはある意味保守的な「モノ」の象徴です。保守的な「モノ」というのは結果として画一化が起こりやすい、進化が起こりにくい商材だと私どもは考えています。学生のみなさんの目線で考えて頂くことにより、殻を破れるような新しい取り組みに繋がるヒントを頂きたいというのが一つ目です。
私どもがお客様にお作りするオーダーメイドのジュエリーは、「コト(想い)」を「モノ(ジュエリー)」に凝縮したり、「モノ(ジュエリー)」で「コト(想い)」を表現したりすることができる点が大きな特徴です。「コト(想い)」の表現方法として、今までとは違ったジュエリーの在り方を考えるヒントを頂きたいというのが二つ目でした。

プレゼンを拝見させていただいた感想は、私どもの考える保守的な考え方の殻をひとつ破ってくれるような新しい提案があったように思います。ブライダルジュエリーを探すということを前提としていない学生のみなさんに今回この課題を投げかけたことにより、目線の違うフレッシュな提案やトレンドがうまく取り入れられた提案が多くありました。
また、幸せが末永く続くための象徴としてブライダルジュエリーを捉えた提案が多かったことも非常に興味深かった点でした。ブライダルジュエリーにおける今後の広がりが期待できると確かに感じることができました」

これまで社会連携プログラムに参画した企業は、大手百貨店や化粧品メーカー、旅行代理店といった就職先として人気の高い企業も数多く、学生と一緒に様々なプロジェクトに取り組んでいます。学部・学科の壁を超えてさらに渋谷・日野2つのキャンパスの垣根をも超えてバラエティ豊かな活動が行われている、それが実践女子大学の社会連携プログラムの魅力です。

・実践女子大学:社会連携プログラム
https://socialcooperation.jissen.ac.jp/

・実践女子大学:受験生向けサイト
https://www.jissen.ac.jp/admissions/index.html