工学院大学の研究室

分析で医療や宇宙科学の発展を支える!物質がわかる顕微鏡の研究【物質計測制御研究室|工学院大学】

今回紹介する研究室は、物質の成分までわかる顕微鏡による分析などを行っている工学院大学「物質計測制御研究室」。医療の分野ではがんの診断や治療、宇宙科学の分野では小惑星から採取したサンプルや隕石の分析などに貢献できる研究です。

どんな研究をしている? 「物質計測制御研究室」

動画で研究紹介(4分20秒)

「物質がわかる顕微鏡」で医療や宇宙科学の発展を支える!

「物質計測制御研究室」では、分析装置と分析方法の開発を行っています。新しい材料や新しい製品を作るためには、そのレベルに合った分析が必要です。試作品を作ったときに、よかった理由が把握できなければ、開発が正しい方向に進みません。坂本先生が開発した分析装置は、物質の成分までわかる高解像度の顕微鏡。イオンビームを当てることで、PM2.5などの微細な粒子も1つ1つ分析することができます。

分析装置を使って、医療の分野では、がん細胞の成分を医学系の大学と共同で研究。がんの悪性度評価や治療方針を決める際に活用できれば、患者にとって最適で負担の少ない治療が実現します。宇宙科学の分野では、同位体比の測定により、地球外物質がどのような場でいつ頃できたかがわかるようになります。このほか、原子力発電所の廃炉作業など、様々な分野で必要とされ、技術的な発展を支える研究です。

学生が語る研究室の魅力

「私は、細胞の中を詳しく見る研究に取り組んできました。教科書に載っている細胞のイメージより、もっと鮮明に見えます。医師と話す機会もあるので、医学的な知識も必要になりますが、専門外の勉強も面白いです。分析するものが違うと、まったく違う分野の研究をすることになるので、研究室の中でもいろいろな知識に触れることができます」(修士2年)

「私が分析しているのは、放射性物質です。福島の原発事故から10年経ちますが、中の様子を知るための分析方法はまだ確立されていません。この研究室には、放射性物質を分析できる装置があります。廃炉に向けた作業を進めるためには、成分を分析して現状を把握する必要があり、そこに携われることにやりがいを感じました。外部の研究所の方たちと、大きなプロジェクトに関わることができたこともよかったです」(修士2年)

先生紹介(工学院大学 坂本先生)

坂本先生は、どんな先生?

「童心に帰って釣りを楽しむことがよい息抜きになっています。フィールドワークとして、学生たちと一緒に川へ行くこともあります」(坂本先生)

「知識量が段違いで、質問には+αの答えが返ってきます。フランクに接してくれるので、趣味の話や雑談など、勉強以外の話をすることも多いです」(修士2年)

「学生との交流も大切にしていて、気軽に話しかけてくれる先生です。研究室の合宿ではバーベキューや釣りをして、学生たちが楽しめる雰囲気を作ってくれます」(修士2年)

坂本先生から高校生へメッセージ

「まだ将来やりたいことが決まっていなくても、心配はいりません。趣味やスポーツでいろいろな人と触れ合っていくうちに、自然に見つかります。教科書に載ってないことを、自分で作りだしていくのが研究開発です。勉強だけでは発想がでてきませんが、教科書の内容は理解しておく必要があります。高校の勉強は、高校生のうちにしっかりやっておきましょう」

卒業後の進路

・約5割が大学院へ進学 
・就職先は、分析装置メーカーや計測器メーカーなど

「研究してきた分野の技術者や開発者になる人が多いです」(坂本先生)

研究室情報

大学名 工学院大学
学部・学科 先進工学部 応用物理学科
研究室 物質計測制御研究室
教員名 坂本 哲夫 教授
研究キーワード イオンビーム、隕石、宇宙、惑星探査、がん細胞、バイオマーカー
URL https://www.kogakuin.ac.jp/faculty/lab/ae_lab38.html