大学の選び方

【高大連携】とは? メリットを知って大学選び、ゼミ、研究室選びに活用しよう。

高校と大学で相互連携する「高大連携」の取り組みが進んでいます。受験生へのメリット、大学のねらいなど、今回はより注目が高まっている「高大連携」について解説します。

「高大連携」とは? 高校生の強い味方になるか? 

受験生にとって、どのような大学を目指し、どのような学問を専攻するか。人生をも左右する重大な決断です。

しかしながら、学びたい学問がハッキリ決まっていなかったり、選んだ方向が正しいのか迷っている人も少なくないでしょう。

ある程度志望校を決めていても、学部学科にわかれて専門性を追求する大学において、実際にどのような授業が行われているのか、本当に自分に合っているのかわからず、悩むケースもあります。

またそれとは対照的に、学習したい分野がハッキリしており、早く大学レベルの教育を受けてみたいと意欲が溢(あふ)れている人もいるかもしれません。

そうしたさまざまな受験生を支援するため、大学や高校が連携して取り組んでいるのが「高大連携」というしくみです。

「高校生向け公開講義」や「出張講義」

「高大連携」とは、まさしく「高校」と「大学」が連携する取り組みをいいます。それぞれの教員が交流し、ネットワークを構築して相互の理解を深めていくことを目指しています。

高校、大学は同じ教育機関ではありますが、基礎的な学力を育む高校と専門性を推し進める大学では、性質が大きく異なります。

それぞれ独自に活動するなか、学校によっても学習の状況や文化などまちまちであり、理解を深めるにはしっかり連携する必要があり、「高大連携」が推し進められているのです。

「高大連携」には、さまざまなやり方があり、決まった形があるわけではありません。大学の講義に高校生を受け入れる「高校生向け公開講義」、逆に大学が高校に教員を派遣する「出張講義(出前授業)」や、オンライン講義を配信するケースなどもあります。

また広義では、「高大連携」に「オープンキャンパス」や「学校説明会」などを含める場合もありますが、本記事では、大学教員を高校へ派遣するなど、より緊密に連携するケースを取り上げています。

<中央大学高等学校 高大連携 理科特別講義>

大学選びに活用しよう! 【高校生向け公開講座】で一足早く大学での講義を体験(高大連携)高校生に大学での学びを体験してもらうことを目的に、さまざまな大学が公開講座を開催しています。大学教員が、自分の研究テーマや専門分野につい...
大学の授業が高校にやって来る!【出前講義(出張講義)】で大学の学びを体験して、よりよい進路選択に役立てよう(高大連携)大学と高校の教育をつなげる「高大連携」の取り組みの一つに、「出前講義(出張講義)」があります。大学の教員が高校に出向いて講義を行うという...

高校や大学における「高大連携」のねらい

高校が「大学」の実情を把握することは、受験生の進路指導においてより具体的なアドバイスを行うなど進学をサポートする上で重要なミッションです。

生徒における学習意欲向上の支えとなれば、生徒や保護者における学校生活の満足度の向上、ひいては「進学実績」という形で高校の発展にもつながっていきます。

「大学」にもメリットがあります。交流を通じて高校においてどのような教育が行われているかを把握して大学における指導に役立てることができるからです。

また、講義を通じて大学の魅力を高校生にアピールすることができます。大学で学ぶ内容を具体的に伝えることで、学習意欲を持つ優秀な学生に直接アプローチできるというわけです。

また地域の高校、大学間で連携することにより、地域の発展を促すという点から連携するケースもあります。

「高大連携」による学生へのメリットは?

高校、大学から見た「高大連携」の魅力について説明しましたが、一番大切なのが主役でもある「学生」が得られるメリットでしょう。

大学ではどのようなことを学ぶのか、高校の段階で講義を体験できることは、将来学ぶ方向性を決める上で大きな参考となるはずです。

自分が目指す学部や学科の講義などを体験できれば、思い描く姿と現実のギャップを小さくすることができます。大学進学後は、スムーズに学生生活になじむことができるでしょう。

また単に講義を受けるだけにとどまらず、高校として大学の講義を受けることに単位を付与する場合や、大学としても正規の授業を受講する「科目等履修生」として扱い、入学後に大学の「単位」を認定するケースもあります。さらに受講者に対して特別推薦枠を用意する場合もあります。

「高大連携」における課題

より積極的に相互交流を行う「高大連携」ですが、課題もあります。大学側では高校生の学習状況などをきちんと理解し、適切な講義を提供しなければなりません。

生徒によって関心がある分野は異なりますし、文系理系の違いはもちろん、学部学科によっても指導する内容が変わってきます。生徒の需要や適性を踏まえ、柔軟に対応していくことが求められます。

「高大連携」もさまざまな形態があり、決まった形があるわけではありません。前述した「単位の認定」や「推薦枠」が必ずしも提供されるとは限りません。自分の学校が「高大連携」を行っている場合も、しっかり中身を理解しておく必要があります。

また学校が進学実績ばかりに目が向いたり、推薦目的に生徒が講義を受けることになってしまうと、学生の学習意欲を高めるという本来の目的から離れ、本末転倒となってしまいかねません。

公開講座などとも組み合わせ、積極的な情報収集を

模索が続く「高大連携」ですが、高校生にとって大学の授業をいち早く体験できることは貴重であり、大きなメリットであることはまちがいありません。

オープンキャンパスやシンポジウムなどといった公開講座などとも組み合わせつつ、大学進学の情報収集に生かしていくと良いでしょう。

<上智大学の高大連携担当副学長による講演>