工学院大学の研究室

環境にやさしいモノづくり!コンピュータシミュレーション実験の研究【環境計算化学工学研究室|工学院大学】

今回紹介する大学の研究室は、コンピュータを使ったシミュレーションによる実験方法の研究に取り組んでいる、工学院大学「環境計算化学工学研究室」。時間をかけずに低コストで新しい材料の開発が行える手法として、大手企業からも注目されています。

どんな研究をしている? 「環境計算化学工学研究室」

動画で研究紹介(4分30秒)

”見えないもの”を可視化して理解する手法

環境計算化学工学研究室では、電池や膜材料のシミュレーションに関する研究を行っています。シミュレーションは、原子や分子の動きをコンピュータで可視化して、様々な反応や現象を目で見て理解できるようにする手法です。化学系でありながら、フラスコや試薬を使った実験は一切行わず、すべてコンピュータ上で行います。

新しい材料を開発するためには、非常に多くの実験が必要になります。実際に実験を行うとなるとコストも時間もかかりますが、シミュレーションを活用すれば低コスト・短期間での開発が可能になるのです。また、一般的な実験では、試薬などを使った後の廃液が環境に害を与えることもありますが、すべてコンピュータ上で行うことで環境にも配慮できます。シミュレーションは、建築や航空機設計などでは広く活用されている手法です。今後は化学の分野でも、“ものづくり”の主体となる手法として期待されています。

学生が語る研究室の魅力

「シミュレーションで粘土の中のイオンを交換したりして、汚染物質の吸着に関する研究をしています。世界的にもまだあまり研究が進んでいない分野だからこそ、自分の手で見つけていくことが楽しくて、ワクワクします。パソコンがあればできる研究なので、新型コロナウイルスの影響で研究室に来られない期間も、リモートで進めることができました」(学部4年)

「もともとコンピュータが好きだったのですが、シミュレーションという研究手法に惹かれてこの研究室を選びました。見えないものを可視化することに面白さを感じ、コンピュータを使って化学の合成などを扱えることが魅力です。化学と情報の両方に興味がある人に適している研究だと思います。今取り組んでいるのは、二酸化炭素の膜分離をシミュレーションで明らかにしていく研究です。どのような膜を作れば効率よく二酸化炭素を分離できるかがわかれば、二酸化炭素の排出削減につながります」(博士1年)

先生紹介(工学院大学 高羽先生)

高羽先生は、どんな先生?

「これといった趣味はないのですが、金沢出身で大学も仙台だったのでスキーは好きです。今でも毎シーズン、家族でスキーを楽しんでいます」(高羽先生)

「何を考えているかわからない、というのが第一印象でした。接していくうちに、面白い先生だとわかってきます。こちらの意思も尊重して、二人三脚のように指導してくれる優しい先生です」(博士1年)

高羽先生から高校生へメッセージ

「この研究室で行っているのは、10年、20年先につながる基礎的な研究です。高校生も学校で、様々な実験をしていると思います。私は、性質がよく似ているベンゼンやトルエンなどの透明な液体の実験を見ても、何が起きているかわからないのであまり興味が持てませんでした。シミュレーションは、分子を可視化できることに魅力を感じています。現在の固定観念にとらわれず、新しいことにチャレンジしたい学生に来てほしいです」

卒業後の進路

・約3割が大学院へ進学
・就職先は、化学や設備系、IT系など

「通常では採用されるのが難しい企業に、シミュレーションをやっていることが決め手となり採用された学生もいます」(高羽先生)

研究室情報

大学名 工学院大学
学部・学科 先進工学部 環境化学科
研究室 環境計算化学工学研究室
教員名 高羽 洋充 教授
研究キーワード シミュレーション、コンピュータ化学、環境材料設計
URL https://www.kogakuin.ac.jp/faculty/lab/ae_lab28.html