大学の選び方

【大学選び】の参考情報は? オープンキャンパスから奨学金、研究内容、就職先、ランキングまでチェックしよう。

4月から進級して高校3年生になる人は、来年の大学受験に向けて新たなスタートを切ることになります。具体的な志望校をまだ絞り切れていない人も多いでしょう。漠然と考えるより、ポイントを抑えて情報を収集し、それらを参考に志望校を絞っていきましょう。今回は、大学選びで参考にしたい情報やポイントを紹介します。

まずは、大学が公開している基本情報を確認

各大学では、大学案内や入試要項をはじめ、受験生向けのさまざまな情報を提供しています。「この大学に興味がある」と思ったら、まずはその大学から入手できる情報を確認しましょう。

大学案内や入試要項

「大学案内」は、各大学が高校生・受験生向けに発行している大学紹介のパンフレットです。建学の精神や歴史、学部・学科の内容やカリキュラム、研究内容、施設、就職状況などが記載されています。目を通すだけもその大学に対するイメージがより具体的になります。

「入試要項」は、試験日や合格発表日、試験会場、試験科目、配点など大学入試に関する情報が記載されている資料です。総合型選抜や学校推薦型選抜で、大学独自の試験内容を設けている場合もあります。一般選抜の募集要項は国公立大学では11月から12月、私立大学では9月から11月ごろに発行されます。志望校の試験日が重なっていないか、得意科目の配点がどうなっているかなど、事前にチェックしておきましょう。

研究内容の紹介など高校生には難しい部分もあるかもしれませんが、まずは興味のある部分だけでも目を通してみましょう。ほとんどの大学で、「大学案内」「入試要項」ともにホームページに掲載されています。 各大学サイトから「受験生向け」、「入試情報」といったメニューを探してみましょう。

学費や大学独自の奨学金、給付制度をチェック

学費は4年間の大学生活を有意義に送るためにも重要です。各大学の案内やWebサイトには金額が掲載されているので、どの程度のお金がかかるかも見ておきましょう。

また、奨学金は日本学生支援機構が有名ですが、大学が独自に奨学金制度を設けているケースもあります。中には返済が不要な「給付型の奨学金」制度や、入学前に奨学金を受け取り入学金や初年度の授業料に充てられるような、「予約型」と呼ばれる、奨学金制度を設けている大学もあります。

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大学を見に行く、体感する

Webサイトなどで大学の情報を確認したら、気になる大学には実際に足を運んで体感してみましょう。キャンパス内に入る機会としてチェックしたいのは「オープンキャンパス」や「大学祭」です。

オープンキャンパスや大学祭

「オープンキャンパス」とは、土日やGW、夏休みなどに、各大学が学生や保護者を対象にキャンパスを開放し、学校や学部の紹介を行う学校説明会のこと。キャンパスツアーや模擬授業、実習体験などさまざまなイベントなども実施されます。早い大学であれば4月から開催されています。

「学園祭」は、受験生にとって志望校の雰囲気を感じられる絶好のチャンスです。学生が楽しむお祭りなので、ありのままの学生の姿を見ることができます。

実際に足を運ぶので、キャンパスの雰囲気を肌で感じることができるほか、大学案内やホームページを見るだけでは得られない情報を得ることができます。また、「自分がこの大学に通う」という具体的なイメージを持つことができるので、受験勉強に対するモチベーションのアップにもつながります。

現地で開催されるオープンキャンパスや学園祭は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止もしくはスケジュールが急きょ変更になるなどの可能性があります。また、オンラインで実施されるケースなどもあります。事前に大学のホームページやSNSをチェックしておきましょう。

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オンラインのWebオープンキャンパスやYouTube

コロナ禍においてはオープンキャンパスの開催が困難になっていることから、インターネットを使ってどこからでもアクセスできる、オンラインのオープンキャンパスも多くの大学で開催されるようになりました。実際に足を運んでキャンパスの中を見て回ることはできませんが、画面を通してのキャンパスツアーや模擬授業、学校説明会などに参加できます。

また、YouTubeなどを利用して大学紹介の動画コンテンツを公開している大学もあります。動画コンテンツであれば、遠くの大学であっても足を運ぶ必要がなく、いつでも動画を視聴できます。大学案内のような内容のものから、学生が大学の雰囲気を楽しく伝えるようなもの、360度のVR動画でキャンパスを紹介しているものまで、さまざまなタイプの動画コンテンツがあるので、ぜひ目を通しておきましょう。

ランキングなど、客観的な評価を参考にする

第三者機関が発表している偏差値、ランキングなども見ておきましょう。偏差値は難易度、入試のランキングは、大学に対する外部からの評価、ブランドとしての価値を知ることができます。

大学の難易度

大学の偏差値は、入試での大学の難易度の目安となり、志望校選びには大切な情報です。各大学の偏差値の情報は、予備校などのWebサイトでも公開されていますが、模試の種類やテストによっても偏差値は違ってきます。また、大学入試の場合、同じ大学であっても、学部や学科によって偏差値には違いがありますので、自分の志望する学部、学科の偏差値を確認しておきましょう。

大学ランキング

大学のランキングとして有名なのが、「THE世界大学ランキング日本版」です。これは、イギリスのタイムズが毎年発行している高等情報教育誌「Times Higher Education」が、2017年から発表している日本の大学を対象としたランキングです。「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野16項目を指標として、順位が決められています。

自分が大学を選ぶ際に何にこだわっているか条件を考えた上で、分野別ランキングを参考にするといいでしょう。

例えば手厚い教育を求めている人は、学生1人当たりの資金や教員比率などから算出される「教育リソース」を見てみましょう。グローバルな環境で学びたい人は、外国人の学生や教員の比率を反映した「国際性」を参考にすることをお勧めします。

・THE世界大学ランキング日本版
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/

研究テーマ、研究室から大学を探す

大学とは本来、研究や学問をするための場です。そのために各学部や研究室が設けられているのです。学部や学科は、願書を出す段階で決めますが、研究室は入学してから選ぶことになります。したがって入学後に情報を集めてから決めても問題はありません。

ただ、志望大学を探す段階で、あらかじめその大学にどのような研究室があり、どのような研究を行っているかを見ておくことも重要です。入学してから「やりたい研究をしているのは、他の大学の研究室だった。あちらの大学に進めばよかった」と後悔することにもなりかねないからです。
また、具体的な研究内容を知ることで、自分が志望する大学で何を学びたいのかイメージしやすくなり、受験勉強のモチベーション維持にも役立ちます。

インターネットが浸透してきた近年は、大学が発表している研究成果などを容易に探せるようになっています。「宇宙」が好きな人は宇宙に関する研究をしているところを検索してみれば、いろいろな大学の研究室が見つかるでしょう。大学でも受験生向けに研究室の情報を公開している場合があります。志望する大学のWebサイトを探してみましょう。

・工学院大学:研究室をのぞいてみよう!
https://www.kogakuin.ac.jp/admissions/about/labo_movie.html

また、このスタディラボでも大学や社会が注目しているテーマなどを取り上げています。このようなサイトを参考に、大学が行われている研究を調べるのも一つの手です。

・注目の研究テーマ:スタディラボ
https://studyu.jp/feature/theme/

就きたい職業から大学を探す

あくまで大学入学は、自分の成長の過程であって、最終ゴールではありません。大学卒業後の進路も、大学選びの情報としては見ておきましょう。

大学卒業後の進路、主な就職先

大学卒業後の進路は、各大学のWebサイトなどで公開されています。学部や学科ごとに、就職した業種や会社名、人数、あるいは大学院、海外の大学への進学について、詳しく掲載している大学もありますので、参考にしてみましょう。

就職のための資格を大学で取得できるか

目指している職業に資格が必要な場合、その資格を取得するためにはどの大学・学部を選ぶべきか考える必要があります。例えば教員免許や栄養士などは、特定の課程を修了して卒業すると得られる資格です。医師や看護師などは、医学部や看護学校など特定の学校、学部で関連する学問を修めた後、国家試験への合格が必要です。

一方、公認会計士や税理士などは、特定の大学や学部に進まなければなれないわけではありませんが、経済・経営・商学系の学部に進むのが近道となります。

そのほか多くの職業は、どの大学・学部に進んでも就くことができます。ただし、それらの職業で必要とされる知識は大学で学べることも多いため、就きたい職業に関連する学部を選ぶことを意識するといいでしょう。

先生や先輩のアドバイスにも耳を傾けて

そのほかにも、大学に関する情報は身近なところにもあるはずです。例えば高校の先生や塾、予備校の先生、大学に通っている先輩などからのアドバイスも、参考になるでしょう。

しっかり確認しないと、名の知られた有名な大学、スポーツなどの大会によく出場している大学などにばかり目が行ったり、「自分の学力では、この辺りのレベルの大学が適当か」という消極的な選び方をしてしまうかもしれません。

大学生活を有意義に送るためにも、積極的に情報を集めたうえで、保護者や高校の先生ともしっかり相談して、志望大学を決めていきましょう。