大学の選び方

大学が運営する【博物館】に出掛けてみよう! 縄文土器からギロチンまでさまざまな展示が魅力

キャンパス内に「博物館」を有している大学は多く、さまざまなジャンルの貴重な学術資料や芸術作品などを収蔵しており、それらを一般公開しています。今回は、「大学が運営する博物館」を紹介します。

どうして大学に博物館がある?

大学では研究、調査のために多くの資料、史料を所有しています。普通ならばそれは学内の一部の研究者や学生しか見ることはできませんが、それを一般公開することで研究成果を社会へ還元し、生涯学習の機会を提供するのが大学の持つ博物館の意義です。

大学博物館の収蔵品や展示内容は、大学での研究と深い関係があります。博物館を見て回ることで、この大学ではどのような研究に力を入れているのか分かります。

大学内にあっても一般の人にも開放されており、多くは入館料も無料です。志望校選びで、大学を見学する際などには立ち寄って観賞してみましょう。

「知」が結集した大学の博物館

大学博物館は、大学の「知」の結集であると同時に、好奇心を満たしてくれる場所であり、大学内であることを忘れてしまいそうな空間でもあります。各大学博物館の成り立ちや展示物について紹介します。

明治大学博物館

明治大学博物館には、「刑事部門」「商品部門」「考古部門」の三つの部門があり、大学館内にあった刑事博物館、商品博物館、考古学博物館を前身としています。この三つの博物館を統合する形で、2004年に開館しました。建学の精神である「権利自由」「独立自治」に基づき、博物館としての学術研究の成果を公開することを目的としています。

刑事部門では、法学の歴史を研究、教育するために、主に江戸時代と明治時代の法と刑罰に関する文書や絵画、道具などの史料を収集しています。展示の中心は、江戸時代の犯人逮捕、取り調べや裁判、処罰を紹介したコーナーです。

薄暗い館内を進んでいくと、江戸時代の犯罪者の人相書きや法律書、容疑者の捕縛時や日常の見回り時に使われた十手(じって)、ヨーロッパの刑罰道具ギロチン、拷問道具鉄の処女(アイアンメイデン)などが並んでいます。人相書き中でもこのギロチンとニュルンベルクの鉄の処女は、日本で唯一の展示資料となっています。

また映画やテレビの時代劇に登場する人相書きには容疑者の似顔絵が描かれていますが、展示されている実際の人相書きを見ると似顔絵はなく、文字だけで容疑者の身体的特徴を並べているだけなのです。それを見ると「本当にこの情報だけで犯人を捕まえられたのか」「誤認逮捕や冤罪(えんざい)はなかったのか」などの疑問がわいてきます。

そのように通常は目にすることのない展示物を見ると、歴史に関する理解が深まったり、さらなる興味や疑問が生まれたりして、研究意欲につながることもあるでしょう。

<明治大学博物館刑事部門 常設展示の見どころ>

商品部門では、商学部教員の研究グループが発足した資料室が前進となり、漆器や染織品、陶磁器など日本の伝統的工芸品を収集しています。展示では、商品の原材料、部品、製造技法、完成品にいたる製造工程などを紹介しており、日本の伝統工芸品の全体像を学ぶことができます。

世界的には中国の磁器が最高のものとされてきましたが、日本の陶磁器は釉薬の発色をデザインとする施釉陶(せゆうとう)や、土味を生かした焼締めまで多様な陶磁器があり、日本の茶道文化が影響していることなどが学べます。

<明治大学博物館商品部門 常設展示の見どころ>

考古部門では、文学部考古学専攻が発足して以来、戦後の日本の考古学の発展にも貢献した日本の旧石器時代から縄文時代、弥生時代、古墳時代までの遺跡から出土した発掘品を展示しています。群馬県の岩宿(いわじゅく)遺跡出土の石器や、埼玉県砂川(すながわ)遺跡出土の石器、神奈川県夏島(なつしま)貝塚の出土品、栃木県出流原(いづるはら)遺跡の出土品などが展示されており、これらはいずれも重要文化財に指定されています。

展示物の中でも夏島貝塚は、縄文時代初期の貝塚で日本最古の貝塚のひとつです。土器だけではなく、貝類やカツオなどの骨、イノシシの骨なども展示されており、縄文初期の人々の生活を知ることができます。

<明治大学博物館考古部門 常設展示の見どころ>

開館時間 月曜日~金曜日:10:00〜17:00(入館16:30まで)
土曜日:10:00〜12:30(入館12:00まで)
休館 日曜日・祝祭日
観覧料 無料
明治大学博物館 HP https://www.meiji.ac.jp/museum/

早稲田大学演劇博物館

早稲田大学演劇博物館(通称:エンパク)は、小説家で劇作家の坪内逍遥の古希(70歳)と、その半生を費やした「シェークスピヤ全集」全40巻の翻訳が完成したのを記念して、1928年に設立されました。アジアで唯一の演劇専門博物館です。

早稲田大学と演劇の関係は深く、早稲田から生まれた劇団も多く存在します。また、戦前に創設され現在まで活動を続けている歴史ある演劇サークルもあり、そうしたサークルからは著名な演劇人、文化人が生まれています。

博物館は日本国内だけでなく、世界各地の演劇・映像の貴重な資料を収蔵しているのが特徴です。錦絵4万8000枚、舞台写真40万枚、図書27万冊、チラシ・プログラムなど8万点、衣装・人形・書簡・原稿などの博物資料15万9000点、その他貴重な書物や映像資料など、コレクションは100万点に及びます。

博物館本館の正面舞台は、エリザベス朝時代のイギリスの劇場「フォーチュン座」を模して設計されています。足を踏み入れると、まるで異国の地に降り立ったような感覚が味わえるでしょう。博物館は1階から3階まであり、それぞれ常設展示が行われています。1階は、戦後派のスター女優として活躍した京マチ子の記念特別展示と、日本の映画とテレビに焦点を当てた展示を行っています。2階に上がると、そこは坪内逍遥の世界。逍遥の多岐にわたる業績を著書や原稿で紹介し、あわせて逍遥の愛蔵品を展示しています。3階では、古代演劇から能・狂言が栄えた中世演劇、歌舞伎と文楽の近世演劇、明治・大正以降の新派や新国劇へと、日本の演劇の歴史をたどる展示が展開されています。

開館時間 展示室・図書室(博物館1階): 10:00~17:00(火・金曜日は19:00まで)
閲覧室(6号館3階): 月~金 10:00~17:00/土・日・祝 閉室
入館料 無料
早稲田大学演劇博物館 HP https://www.waseda.jp/enpaku/

駒澤大学禅文化歴史博物館

駒澤大学禅文化歴史博物館は、開校120周年の記念事業の一環として、2002年に開館しました。駒沢大学は、仏教の教えと禅の精神を建学の理念としており、曹洞宗の開祖道元の教えを学ぶ禅学科を設置するなど、禅と縁の深い大学です。そんな駒澤大学の特色を生かした禅の文化や歴史をテーマとしており、禅の文化や歴史に関わる資料を中心としたコレクションを収蔵しています。

常設展示室では、「起きて半畳寝て一畳」といわれる禅僧の修行空間「単」の再現などで、禅の象徴空間を演出しているほか、禅僧の書跡や絵画をはじめ、禅文化を語る美術工芸品や仏教美術など幅広い収蔵品を展示しており、禅の精神を体感できます。また、木魚を鳴らしたり、写経や座禅ができるコーナーが設置されており、禅を体験的に学ぶことができます。

開館時間 平日 10:00~16:30(最終入館16:15まで)
休館 開館カレンダー参照
※来館要事前予約
入館料 無料
駒澤大学禅文化歴史博物館 HP https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/museum/

國學院大學博物館

國學院大學(だいがく)博物館は、日本文化の研究に必要な文化財を収集、保存し、学術的な研究成果を一般に公開することを目的として設置された博物館です。1928年創立の考古学陳列室と、1963年創立の神道学資料室を統合した学術資料館を前身としており、2013年に開館しました。常設展示は、「考古ゾーン」「神道ゾーン」「校史ゾーン」の三つに分かれています。

國學院大學は、国家が発展するためには思想や文化は欧風の模倣ではなく、日本独自の歴史や民族性に基づくものでなければならないという思いを背景に設立されました。また、神道の精神を重視しており、神道文化学部を設置しています。そのため博物館の展示は、日本古来の精神や宗教性を重視したものとなっています。

考古ゾーンでは、縄文時代から弥生時代、古墳時代、古代、中世までを対象に、さまざまな遺物の中から、特に宗教的な意義を見いだすことができる資料を紹介しています。神道ゾーンでは、日本各地の神社を中心に行われてきた「まつり」に焦点を当て、そこで用いられるモノと、そこに込められた心との関係を明らかにする展示を行っています。校史ゾーンでは、大学関連の資料を通して、國學院大學における伝統文化研究と教育の実態を明らかにする展示を展開しています。

開館時間 水~土:12:00~17:00(最終16:30入館)
休館 開館カレンダー参照
※来館要事前予約
入館料 無料
國學院大學博物館 HP http://museum.kokugakuin.ac.jp/

世界最初の大学博物館は

世界最初の大学博物館は、イギリスのオックスフォード大学にあるアシュモレアン博物館です。イギリスの政治家で古物収集家のエリアス・アシュモールが、自身のコレクションをオックスフォード大学に寄贈したのが始まりで、1683年に設立されました。

収蔵品は、ギリシア・ローマ時代の彫刻から、古代エジプトの遺物、バイオリンの名器ストラディバリウス、ミケランジェロ・ラファエロ・レオナルド・ダ・ヴィンチのデッサン、ピカソの油彩画など幅広いのが特徴です。

他にもある大学博物館(首都圏の大学)

これまで紹介した大学博物館以外にも、多くの大学が博物館を開館しています。受験を考えている大学、興味がある大学の博物館に出掛けてみてはいかがでしょうか。

・東京大学総合研究博物館
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/

・東京工業大学博物館
http://www.cent.titech.ac.jp/

・東京農工大学科学博物館
https://www.tuat-museum.org/

・東京理科大学近代科学資料館
https://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/

・東京農業大学「食と農」の博物館
https://www.nodai.ac.jp/campus/facilities/syokutonou/

・東京家政大学博物館
https://www.tokyo-kasei.ac.jp/academics/museum/

・東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム
https://www.s.kaiyodai.ac.jp/museum/public_html/

・立正大学博物館
https://www.ris.ac.jp/museum/index.html

・共立女子大学博物館
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/muse/

・日本大学芸術学部芸術資料館
https://www.art.nihon-u.ac.jp/facility/attached/archives/

・大妻女子大学博物館
https://www.museum.otsuma.ac.jp/

・実践女子大学 香雪記念資料館
https://www.jissen.ac.jp/kosetsu/

・東洋大学 井上円了記念博物館
https://www.toyo.ac.jp/about/founder/iecp/museum/

・早稲田大学 會津八一 記念博物館
https://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/

・武蔵野音楽大学楽器ミュージアム
https://www.musashino-music.ac.jp/guide/facilities/museum

出掛ける際は事前に開館日等を確認しよう

新型コロナウイルス感染症の影響などにより、開館日や開館時間が変更になっているかもしれません。また、事前に来館予約が必要な博物館もあるので、各大学の博物館のウェブサイトなどで情報を確認をした上で訪れるようにしましょう。