大学受験の基礎知識

大学受験前に知っておきたい【奨学金制度】の基本。返済義務のない給付型なら卒業後の負担も軽減!

大学進学を考える際に、避けて通れないのが「お金」の問題です。経済的な事情のほか、学費はなるべく自分で何とかしたいという思いなどから、奨学金の利用を検討したいと考える人は少なくないでしょう。
一方で、「奨学金=貸与」というイメージから卒業後の返済を心配して二の足を踏んでいる人もいるかもしれませんが、返済義務のない給付型の奨学金制度も利用できます。また2020年4月からは国が新たな支援策もスタートさせています。ここでは、大学在学中に受けられる奨学金制度の「基本」を説明していきます。

日本学生支援機構だけじゃない。さまざまな『奨学金制度』

まずは、奨学金制度とは何かを改めて確認しておきましょう。奨学金制度は、意欲や能力があるにも関わらず、経済的な理由などで学び続けることが困難な学生に、学費などを貸与、あるいは給付する制度です。

奨学金タイプ 返済義務 種類
貸与型 返済義務あり ・第一種奨学金
・第二種奨学金
給付型 返済不要 ・給付型奨学金(国制度)
・予約型(大学独自)
・給付型奨学金(企業)

『奨学金制度』を設けている団体

奨学金の貸与・給付を行う団体としてもっとも知られているのは独立行政法人の日本学生支援機構ですが、その他にも各大学や一般企業が運営する団体、地方自治体など多くの組織が奨学金制度を設けています。

2人に1人の学生が奨学金を受給

日本学生支援機構の調査(2018年)によると、大学生(昼間部)の47.5%、つまり約2人に1人は何らかの奨学金を受給しています。決して、ごく一部の人だけが奨学金制度を利用しているわけではありません。

前述のとおり、さまざまな組織が奨学金制度を設けており、大学卒業後に奨学金を返済する義務がある「貸与型」だけでなく、返済が不要な「給付型」の奨学金制度も徐々に増えています。

そこで、「奨学金なんて自分には関係ない」と最初から決めつけずに、どんな制度があって自分が利用できる制度はどれなのか、一度は検討してみることをおすすめします。

大学無償化とは? 「学費減免+奨学金」という新タイプの奨学金

奨学金制度は、世の中の状況などに応じて少しずつ内容が見直されています。2020年4月からは、国の新たな政策としていわゆる「大学無償化」、正式には「高等教育の修学支援新制度」がスタートして注目されました。「大学無償化」という言葉にはインパクトもあり、「知っている」という人も多いかもしれません。

「大学無償化」のポイント

この新制度の大きな特徴は、「①授業料・入学金の免除または減額」と、返済の必要がない「②給付型奨学金」がセットになっていることです。授業料が免除・減額されるので、給付された奨学金を授業料以外の大学の費用に充てたり、生活費などに利用したりできます。今までにない非常に手厚い制度といえるでしょう。

具体的な学費の減免額と奨学金は次のとおりです。

<①入学金・授業料の減免額の上限(住民税非課税世帯の場合)>

区分 入学金 授業料
国公立大学 約28万円 約54万円
私立大学 約26万円 約70万円

<②給付型奨学金 年額(住民税非課税世帯の場合)>

区分 自宅生 自宅外生
国公立大学 約35万円 約80万円
私立大学 約46万円 約91万円

※住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合は、住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3の支援額になります。

ちなみに大学の学費は、進学する大学、学部によって大きく異なりますが、文部科学省の調査(平成30年度)によると、国立大学の入学金は約28万円、授業料は年間約54万円、私立大学の場合は入学金の平均は約25万円、授業料の平均は年間約90万円となっています。

「大学無償化」の制度を利用できる学生

ただし、この制度を利用できるのは、あくまで住民税非課税世帯、またはそれに準ずる世帯の学生に限定されます。学力に関する条件もあります。しかし

・高校の成績が5段階評価で3.5以上
・高い学修意欲がある

上記のいずれかに当てはまればよいため、こちらはそれほど厳しい条件ではないといえるでしょう。

・高等教育の修学支援新制度
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm

早くお金がもらえる「予約型」で入学時費用に充てる

「大学無償化」の条件には当てはまらないものの、返済の必要がない「給付型」の奨学金を受給したいという人は、大学や企業が独自に設けている奨学金制度を検討してみるとよいでしょう。

大学や企業の奨学金制度の多くは「給付型」です。応募資格として、「経済的な支援の必要性」を挙げているものがほとんどですが、「大学無償化」制度に比べると緩やかな条件が多く、相対的に利用しやすい制度といえます。

「予約型」なら入学金や初年度の授業料に充てることも

その中でも特に注目したいのが、ここ数年増えてきている「予約型」と呼ばれる大学独自の給付型奨学金制度です。従来は、大学入学後に奨学金の申請手続きを行うため、実際に奨学金が給付されるまでに時間がかかりました。

しかし「予約型」の場合は、受験前に申請、選考を経て採用が決定するので、早い大学では入学前に奨学金を受け取って、入学金や初年度の授業料などに充てることができます(もちろん、その大学に合格しなければ奨学金は給付されません)。

一例を挙げると、早稲田大学には「めざせ!都の西北奨学金」、慶應義塾大学には「学問のすゝめ奨学金」という「予約型の給付奨学金」制度があります。また、2020年度からは、成蹊大学や明治大学、甲南大学などが新たにこのタイプの奨学金制度を導入しています。

・早稲田大学「めざせ!都の西北奨学金」
給付金額:年間45万、65万、70万円(学部で異なる)、募集人数:約1200名
https://www.waseda.jp/inst/scholarship/aid/programs/pre-approved/

・慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金」
給付金額:年間60万円(医学部90万円・薬学部80万円)、募集人数:550名以上
https://www.students.keio.ac.jp/other/prospective-students/scholarship-gakumon.html

なお、大学によっては、保護者の収入や本人の学業成績のほか、「地方出身者のみ」といった条件を課しているところもあります。当然ですが、詳細や最新の情報は各大学のウェブサイトなどで必ず確認しましょう。

「貸与型」の利用はしっかり計画を立てて

ここまで、返済の必要がない「給付型」の奨学金制度について見てきました。ただ現状では、日本学生支援機構の「貸与型」の奨学金を利用している人が大半です。卒業後に返済をする点に抵抗を感じる人がいるかもしれません。なお、卒業後の返済のことを、日本学生支援機構では資金を次の世代に循環させるという意味で「返還」と呼んでいます。

しかし、募集人数が限定されている大学や企業の奨学金とは異なり、家計と学力の基準を満たしていれば誰でも利用することが可能です。大学生活に必要なら、将来の返済(月々の返済額と総額)についても考えた上で検討する価値はあるでしょう。

第一種と第二種の違い

「貸与型」奨学金には、利息の付かない「第一種奨学金」と、在学中は無利息で卒業後は利息がかかる「第二種奨学金」の2種類があり、「第一種」のほうが保護者の年収の要件も厳しく、求められる学力基準も高いのがポイントです。

「第二種」は、年収の目安が4人世帯で1100万円以下、学力基準は高校での成績が平均以上、もしくは学修意欲があればよく、非常に緩やかで利用しやすいものになっています。気になる「利率」については、利率固定方式で年0.156%(2019年12月現在)と低く抑えられています。

貸与される金額も「第一種」と「第二種」で異なります。「第一種」は家計の収入や国公立か私立か、また自宅生か自宅外生で金額が決められていて、最高月額は私立大学、自宅外生の場合の6万4000円です。

一方、「第二種」のほうは、2万~12万円の中から1万円単位で自由に選べるため、生活に必要な金額と将来の返済計画の両方を考えながら、自分にとって適切な金額を選ぶことが可能です。

区分 利息 条件 貸与金額
第一種奨学金 利息なし 厳しい 6万4000円(最高月額:私立大学、自宅外生)
第二種奨学金 在学中は無利息、卒業後は利息あり 緩やか 2万~12万円の中から1万円単位で選択

学生本人に給付・貸与されるのが奨学金。当事者意識を持って自分で調べてみよう!

奨学金は、高校を通じて申し込むタイプも多く、最終的には保護者や高校の先生と相談した上で、どれに申し込むのか何を利用するのかを決定することになるでしょう。しかし、奨学金は、保護者ではなく学生本人に対して給付・貸与されるものです。当事者であるという意識を持って、まずは自分で調べてみましょう。

日本学生支援機構のウェブサイトには、「自分が大学無償化の対象か」を大まかに調べられるシミュレーションページや、全国の大学や地方公共団体などが行う奨学金制度を検索できるページがあります。まずはこうしたページで調べてみることから始めてみましょう。

●進学資金シミュレーター
https://shogakukin-simulator.jasso.go.jp/

●大学・地方公共団体等が行う奨学金制度(検索機能)
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/shogaku_dantaiseido/index.html