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苦手な科目でもすんなり頭に入る【勉強に役立つ漫画】を紹介!理系も文系も

日本文化のひとつとして大きく成長した漫画。さまざまなジャンルの作品がありますが、読んでただ面白いだけではなく、読むことで教科書にも劣らぬ知識が得られて、勉強に役立つ漫画もあります。そんな漫画を、文系と理系に分けて紹介します。

勉強に漫画が役立つ?

日本の漫画はファンタジーやバトルにはじまり、ミステリー、恋愛、日常生活を扱った作品をとジャンルが幅広く、多くの外国語にも翻訳され、海外のファンも多いです。「マンガ」はもはや世界共通語といっても良いでしょう。「文章を読むのは苦手だけれど、漫画を読むのは好きという人も多いはずです。最近は電子書籍や配信サイトも充実しており、読みたいと思ったときにパッと読める手軽さも人気をあと押ししています。

漫画には、歴史や古典、科学など、学校で学ぶ分野をテーマとした作品が数多くあります。そういった作品を読むことで、その分野の知識や教養を身につけるきっかけにもなります。何より読んだ漫画の内容は意外に忘れないものです。同じことを教科書で学ぶと覚えられないのに、漫画だとすんなり頭に入っていく。漫画を教科書の副読本として読みながら勉強することで、知識を定着させていくことができるでしょう。苦手教科こそ、漫画の力を借りて勉強するというのも良い手です。

歴史や古典が鮮やかに理解できる

歴史や古文の科目が苦手という人は多いのではないでしょうか。歴史は戦乱などが起きた背景から理解する必要がありますし、古典は文法が現代と違うため読むのが難しいです。

これが歴史漫画になると、当時の文化や風俗、服装、人々の生きざま、戦乱の様子などがビジュアルとともに鮮やかに描かれているので、教科書に文章で書かれていることが、「こういうことだったのか」と理解することができます。

古典は漫画を先に読むと良いかもしれません。世界観が漫画で描かれており、古語の文法が苦手でも内容がすんなり頭に入っていきます。古典の著者が生きていた時代の背景、文化、どんな服を着てどんな家に住んでどんな生活をしていた知ることができます。物語の背景を知っていれば、古典により親しみを持って接することができるでしょう。

化学式が分からなくても化学が分かる?

化学や生物など理系科目を題材とした漫画もあります。化学式は難しくて理解できなくても、火薬や薬剤がどのように作られているのか、どのような仕組みで電気が生み出されるのか、身近な携帯電話などの機器がどのように作られているのか理解することができます。

また、体内で細胞がどんな働きをしているのか、発酵の仕組みはどのようなものなのか、漫画ならすんなり理解できます。文系の人でも、科学に興味を持つきっかけになるような作品が多いです。

監修者がいればより安心

こうした勉強に役立つ漫画には、監修者が付いている場合があります。監修者とは、漫画の内容に学術的に間違いがないかチェックする役割を担う人で、その分野の専門家や有識者などが務めます。

例えば歴史漫画の場合、描かれている服装や道具、風俗や作法、言葉づかいなどがその時代に合ったものであるか検証する「時代考証」が行われます。漫画には作者による創作を含みますが、監修者がいれば史実や科学的現象などよりリアルに描かれているものとして、安心して読むことができます。

ただし、あくまで教科書ではありませんので、理解を進めるための副読本として楽しむことを忘れずに、表現に矛盾を感じたときは教科書をベースに学習しましょう。

勉強に役立つ漫画を紹介(文系編)

楽しく読んで楽しく学べる漫画作品を紹介します。まずは古典や文学、歴史を扱った文系の作品から取り上げていきましょう。

「あさきゆめみし」 作者 大和和紀

古典の代表的な作品でもある、紫式部の「源氏物語」を漫画化した作品です。主人公の光源氏を中心に、平安時代の貴族のみやびやかな恋愛模様が描かれています。

古文が苦手という人でも、源氏物語の世界を少女漫画として楽しく読むことができます。また、平安時代の貴族がどのような服を着て、どのような家に住み、生活をしていたのか、文化や風俗が資料をもとに丁寧に描かれているので、古典を読むときの参考資料にもなります。

「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」 作者 ドリヤス工場

夏目漱石、芥川龍之介、森鴎外、太宰治、カフカ、トルストイなど、教科書で出会うことの多い有名作家の文学作品を、約10ページの漫画にまとめたものです。

「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な漫画家水木しげる風のタッチで、太宰治の「人間失格」や梶井基次郎の「檸檬(れもん)」、芥川龍之介の「羅生門」など、作品名は知っているけれど文学への苦手意識から手が出なかった作品も、原作の魅力を損なうことなくわかりやすくまとめられています。この漫画を読んで興味を持ったら、原作を読んでみましょう。文学の世界が広がります。

「風雲児たち」 作者 みなもと太郎

江戸時代に活躍した人物たちの運命を描いた歴史漫画です。例えば、討幕運動をリードした薩摩や長州の動きの背景には、関ヶ原の戦いに敗れた側であったため、徳川幕府からの屈辱的な待遇に耐えていたことがあったこと。あるいは、徳川家康の孫である(水戸黄門で有名な)徳川光圀が歴史書「大日本史」の編纂事業を始めたことで、水戸藩に尊王思想が育まれ、それが幕末に尊王攘夷へと走らせ、桜田門外の変へと向かったこと。そのような江戸初期から幕末にかけての歴史の大きな流れが、漫画を通して理解できます。

「静粛に、天才只今勉強中!」 作者 倉多江美

フランス革命が学べる漫画です。フランス革命期の政治家ジョセフ・フーシェをモデルにしたジョセフ・コティという人物が主人公。三部会の招集からルイ16世の処刑、ロベスピエールの失脚、ナポレオン・ボナパルト政権、ナポレオンによるロシア遠征の失敗まで、主人公コティの目を通して描かれています。

「キングダム」 作者 原泰久

古代中国の春秋戦国時代を舞台にした歴史漫画です。天下の大将軍を目指す少年信と、後に秦(しん)の始皇帝なり中華統一を果たす少年政が主人公。彼らがさまざまな戦乱や策謀を乗り越えて、大きく成長していく様が描かれています。これまであまりフォーカスされることがなかった春秋戦国時代を取り上げたということで、話題になりました。

「ヘタリア Axis powers」 作者 日丸屋秀和

国を擬人化した歴史コメディ漫画です。タイトルは、第二次世界大戦で早々に脱落したイタリアを評したネット上の造語である「へたれなイタリア」が由来です。イタリアとドイツの枢軸国(Axis Power)を中心に、国が争ったり友人になったりするなど、国際関係がジョークを交えて描かれています。

誇張された部分もありますが、遊び好きで逃げ足の速いイタリア、規律に忠実なドイツ、周囲に振り回されがちな日本など、各国の特徴がわかりやすく描かれていて歴史と地理の勉強になります。

勉強に役立つ漫画を紹介(理系編)

数学や科学の面白さがわかる漫画を紹介。理系が苦手な文系の人でも面白く読める作品です。

「はたらく細胞」 作者 清水茜

舞台は人間の体内。赤血球や白血球、血小板、キラーT細胞など、細胞を擬人化した漫画です。体内にウイルスや花粉が侵入したとき、がん細胞が発生したとき、熱中症になったときなど、体内の細胞たちがどのような働きをしているのかわかりやすく描かれています。自分の体の中で何が起きているのか興味を持つきっかけにもなる作品です。

「Dr.STONE」 原作 稲垣理一郎、漫画 Boichi

謎の石化現象により人類の文明が滅亡した未来のストーンワールド(石の世界)が舞台。石化からよみがえった天才科学少年石神千空が、「科学王国」の建設を目指すというストーリーです。

千空は、並外れた科学に関する知識と地道な努力で、一から火薬や発電所、携帯電話、蒸気自動車、ダイナマイト、帆船などを作り上げていきます。その原材料や過程も丁寧に面白く描かれているので、楽しく科学を理解することができます。

「数学ゴールデン」 作者 藏丸竜彦

数学の問題を解く能力を競い合う数学オリンピックの世界を熱く描いた漫画です。主人公の高校生小野田春一は、平凡ながらひたすら努力を重ね、数学オリンピックの日本代表を目指します。数学オリンピックの銀メダリストが監修を務めており、作中に出てくる問題も本格的です。数学が苦手な文系の人も、漫画の面白さと熱さに引き込まれ、数学に関心を持つようになるかもしれません。

「もやしもん」 作者 石川雅之

菌やウイルスが肉眼で見え、手でつかんだり会話もできるという能力を持つ農学部の沢木直保が主人公。幼なじみの同級生や院生とともに、研究を進めるなか、さまざまな菌に関する騒動に巻き込まれていきます。パンやヨーグルト、お酒など発酵食品に対する理解が深まるでしょう。

進路を決めるきっかけになるかも?

自分には縁がないと思い込んでいた分野でも、漫画を読むことによって興味を持つきっかけになることもあります。そこからもっと深く勉強したいと思えば、大学で研究することも可能です。漫画は勉強になるだけでなく、新しい進路を考えるきっかけになるかもしれません。