大学受験の基礎知識

2021年度初の実施【大学入学共通テスト】、センター試験とどこが違う?

共通一次試験のあとを受け、1990年から30年にわたって実施されてきた大学入試センター試験も2020年度入試で最後。代わって2021年度より『大学入学共通テスト(共通テスト)』がスタートします。共通テストが導入されるに至った背景や、共通テストの概要、センター試験との違いなどについて解説します。

『大学入学共通テスト』移行の背景

2021年度の入試では、国公立大学の受験者は原則として『大学入学共通テスト(共通テスト)』を受験する必要があります。また一部の私立大学でも、共通テストの成績を評価に利用する「共通テスト利用方式」を導入しています。

また、2021年度はセンター試験だけでなく、従来のAO入試が「総合型選抜」、推薦入試が「学校型推薦型選抜」と名称が変更されるなど、大学入試の制度が大きく変わります。

『共通テスト』導入の背景には国の教育改革

多くの受験生にとって共通テスト対策は重要ですが、2021年度が初めての実施となるので、どのような内容なのか、これまでのセンター試験とどこが違うのかと不安を覚える受験生もいるでしょう。

そもそも、なぜセンター試験から共通テストに移行するのでしょうか。その背景には、国が進める「高大接続改革」があります。

現代社会はグローバル化の進展や人工知能(AI)技術をはじめとする技術革新などにともない、社会構造も急速に変化しています。そういった変革の時代の中で、「自ら問題を発見し、他者と協力して新たな価値を創造していく力を育てることが必要である」という考えが改革の基本です。

「高大接続改革」とは、求められる能力を育て評価するために「高校教育」と「大学教育」、その両者を接続する「大学入試」を一体的に改革し、それぞれのあり方を転換していく施策です。

共通テストでは「思考力・判断力・表現力」を重視か

こうした一体的な改革の中で、大学入試改革では、学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をバランスよく評価することが求められています。

ところが従来のセンター試験では、「知識・技能」の評価が重視される傾向がありました。そこで2021年度以降の入試では、自分の力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて表現する「思考力・判断力・表現力」を重視した評価を行うため、センター試験から共通テストへ移行することになったのです。

センター試験と共通テスト、どこが違う?

教科・科目はセンター試験と変わらず6教科30科目

共通テストで課される教科・科目はセンター試験と変わらず、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の6教科30科目です。ここから最大8科目、理科①を選択した場合は9科目を受験できます。受験生は大学側から指定された教科・科目を選択して受験します。

受験に必要な教科数は、国公立大学では5教科以上、私立大学の共通テスト利用方式では2から3教科が一般的です。指定教科は各大学で異なりますが、理科や地理歴史・公民などは複数科目から自由に選択できる場合が多くなっています。

出題形式はマーク式。記述問題はなし

出題形式はすべてマーク式です。文部科学省は当初、記述式問題の導入を目指していました。しかし、「受験生の不安を払拭(ふっしょく)し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点で困難である」として、2021年1月に実施の共通テストにおける記述式問題の導入を見送りました。

英語はリスニングの配点が50点から100点に

「英語」の受験者は、センター試験の「筆記」に当たる「リーディング」と、別の時間に実施される「リスニング」が課されます。配点を見ると、センター試験では筆記が200点、リスニングが50点でしたが、共通テストではリーディングとリスニングが各100点となっており、センター試験と比べてリスニングの比重が大きくなっているのが特徴です。

英語は問題量が増える傾向。時間配分に注意

リーディングは読むことを重視した出題になるため、センター試験よりも読まねばならない量が増えると想定されます。時間配分に配慮して試験に臨む必要があるでしょう。

また、リスニングも配点の変更により問題量が増える可能性があります。そのため、センター試験では問題文をすべて2回読み上げていたのが、1回読みだけの問題が出題されると想定されます。そのため一度で正確に聞き取る力が求められることになります。また多様性という観点から、さまざまな国籍の人が読み上げる英語が流れる予定です。

「思考力・判断力・表現力」を評価する出題が増える

共通テストでは、学力の3要素のうち、「思考力・判断力・表現力」を評価するための問題が増える見通しとなっています。では、具体的に出題内容はどのように変わるのでしょうか。大学入試センターが2017年と2018年に、共通テストを検証する目的で実施した「試行調査(プレテスト)」から傾向を見ていきましょう。

「試行調査(プレテスト)」で示された共通テストの特徴とは

試行調査では、センター試験と異なる二つの特徴が示されました。一つは「思考力や活用力を評価する問題」が重視される点。もう一つは「実用的な文章や身近にあるものを題材とした問題」が重視される点です。

例えば思考力や活用力を評価する問題では、

  • 複数の資料を比較、分析して解答を導く問題
  • ある知識から推測を導いて解答させる問題
  • 解答が前問の解答に連動して正答の組み合わせが複数あるような問題
  • 答えを導く過程そのものが解答になっている問題
  • 複数の解答を含んだ選択肢を用意する問題
  • 教科書では扱われていない初見の資料

などが出題されると想定されます。

また実用的文章や身近なものを題材とした問題では、

  • 学校における課題研究の場面などを想定した出題
  • 日常生活の中から課題を発見し解決方法を導く問題
  • ICTの活用を意識した出題
  • 会話や討論、新聞記事、省庁の白書、六法全書などを題材にした出題

などが想定されています。

このように共通テストでは、これまでの知識偏重から思考力、判断力を問う出題が増えることが見込まれています。とはいえ出題範囲はセンター試験と変わらず、高校で学習した内容なので、基本を押さえた上で新しい形式の出題に対応できる力を養うようにしましょう。

センター試験から『共通テスト』の主な変更点
  • 問題作成について、知識の理解の質を問う問題や、思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題等を重視して出題。
  • 数学①の試験時間について、60分から70分に変更。
  • 外国語の「英語(筆記)」の名称を「英語(リーディング)」に変更し、発音、アクセント、語句整序などを単独で問う問題は出題せず、リーディングの内容に特化した出題に変更。
  • 「英語」のリーディングとリスニングの配点について,リーディングが200点から100点、リスニングが50点から100点に変更。
  • 「英語」のリスニングについて, 聞き取る英語の音声を2回流す問題と、1回流す問題がある。
  • 理科②において、センター試験で出題されてきた選択問題については設定しない。
    • (大学入試センター:令和3年度大学入学共通テストQ&Aより)

令和3年度大学入学共通テストQ&A:大学入試センター
https://www.dnc.ac.jp/sp/kyotsu/faq.html

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