データサイエンスは活用されるシーンが多くなり、人材が渇望されるようになってきています。文部科学省は「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートし、データサイエンスの知識を学ぶことのできる大学も増えてきています。データサイエンティストを目指そうと決めているなら、「データ分析や活用に必要な知識やスキルを身につけるには?」という視点を持って「データサイエンス」が学べる大学を探してみましょう。
「データサイエンス」は、これからの社会やビジネスに欠かせないものに!
社会で行き交うデジタル情報の量が爆発的に増えていることから、注目度が高くなっている分野がデータサイエンスです。それを受けて、データサイエンスの専門家である「データサイエンティスト」のニーズも高まり、大学においても人材育成が期待されています。
多くの人がスマートフォンを利用し、街中のIoT機器、監視カメラ、センサー、サイネージなどがインターネットにつながった状態で利用されるようになった現在、人々の動向などに関する膨大なビッグデータが集まるようになります。これを解析して、データに意味を持たせ、これからの社会やビジネス、新しいサービスなどに有効活用するところにデータサイエンスの価値があるのです。
デジタル社会の基礎知識としてすべての大学生の教育に
ニーズの高まりにより、データサイエンティストの人材育成も急務となっています。
これを受け、文部科学省によって、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」という認定制度が始まりました。これは大学の正規課程にて、データサイエンス、数理、AIに関する知識と技術について体系的な教育がされることを認定するものです。
段階に応じて「リテラシーレベル」と「応用基礎レベル」の2種に分かれており、このうち「リテラシーレベル」はすでに創設されています。
この中でも、特に「リテラシーレベル」については、「すべての大学・高専生」が身につけるべき「デジタル社会の基礎知識」であると、内閣府が掲げる「AI戦略 2019」で語られています。今後、ほとんどすべての大学で認定を受け、学部1〜2年の授業に組み入れられるようになるでしょう。
さらに専門性の高い「応用基礎レベル」も創設
より上位の専門性の高い「応用基礎レベル」は、学部3〜4年時を想定していますが、理工系にとどまらず、社会科学や人文系も含まれているのが特徴です。
今後この「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)」の認定制度が普及してきたら、認定を受けている大学(学部)であることを確認すると、大学でデータサイエンスに関する学習ができるかどうかの判断がつきやすくなるでしょう。認定制度のロゴマークなどもすでに決まっています。
数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度:文部省
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00002.htm
多くの大学で「データサイエンス」を学ぶことができる
現時点で大学では、いくつかの取り組みでデータサイエンスのプログラムを展開しています。学部や学科の名称に「データサイエンス」を掲げている大学、明確に掲げていなくてもデータサイエンスを扱う大学、全学でデータサイエンスを扱う大学など、いくつかのパターンに分類できますので、自分に合ったパターンを選んでみてください。
- 学部、学科の名称がズバリ「データサイエンス」になっている
- 名称にデータサイエンスとついてないけど教育内容は「データサイエンス」を網羅
- 全学で「データサイエンス」の講義プログラムを実施している
なお、データサイエンスを扱う大学は、年々増えつつあり、ここで取り上げている大学(順不同)はあくまでも一例です。
1.そのものズバリのデータサイエンス学部、データサイエンス学科
まずはデータサイエンス学部/学科/研究科という、そのものズバリの名称を入れている学部、学科を持つ大学が挙げられます。近年のデータサイエンス人気の高まりから増えている傾向にあります。理系文系を問わずに、横断的に知識をつけられる文理融合型であることが特徴のひとつです。
横浜市立大学 データサイエンス学部データサイエンス学科
https://www.yokohama-cu.ac.jp/academics/ds/index.html
立正大学 データサイエンス学部データサイエンス学科
https://www.ris.ac.jp/ds/
武蔵野大学 データサイエンス学部データサイエンス学科
https://www.musashino-u.ac.jp/academics/faculty/data_science/
滋賀大学 データサイエンス学部データサイエンス研究科
https://www.ds.shiga-u.ac.jp/
一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部・研究科(2023年度に創設予定)
https://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/innovation/419_20201224/
中央大学 理工学部ビジネスデータサイエンス学科
https://ds.r.chuo-u.ac.jp/
大阪工業大学 情報科学部データサイエンス学科
https://www.oit.ac.jp/is/datascience/
滋賀大学 データサイエンス学部データサイエンス研究科は日本初、横浜市立大学 データサイエンス学部データサイエンス学科は首都圏で初の創設とうたっています。
2.名称にデータサイエンスはないが、データサイエンスを網羅
学部学科の名称にはデータサイエンスの言葉が含まれていませんが、教育内容としてはデータサイエンスを網羅しているケースも多くあります。コンピューターやAI、数理科学などを総合的に学べる学部が多いので、教育や研究の内容をよく吟味して検討しましょう。
東京電機大学 システムデザイン工学部 情報システム工学科
https://www.dendai.ac.jp/about/undergraduate/system_design/aj/
東洋大学 総合情報学部総合情報学科システム情報コース
https://www.toyo.ac.jp/academics/faculty/isa/outline/
東京理科大学 理学部第一部 応用数学科
https://www.tus.ac.jp/academics/faculty/sciencedivision1/applied_mathmatics/
同志社大学文化情報学部
https://www.cis.doshisha.ac.jp/about/
名古屋大学 情報学部 自然情報学科
https://www.i.nagoya-u.ac.jp/si/ni/
3.「全学」でデータサイエンスの講義プログラムを実施
全学でデータサイエンスの講義プログラムを実施する大学もあります。データサイエンスは、さまざまな分野で使われる技術ですので、他の研究と並行して学ぶことも効果的です。
理系の学部に多い傾向にありますが、理系では、データを採取し分析しながら行う研究がほとんどですので、ここからデータサイエンスへの興味を深めても良いでしょう。データサイエンスの高度な研究を目指す場合、センターやコンソーシアムが創設されていて、データサイエンスに関する相談にワンストップで対応する窓口を設けている大学も多くなっています。
東京理科大学(学部横断型プログラム データサイエンス教育プログラム)
https://www.tus.ac.jp/academics/education/data_science/
慶應義塾大学 理工学部(特定学科によらず多くの研究室で、AI・データサイエンスを活用した研究実施)
https://entrance.st.keio.ac.jp/
中央大学(AI・データサイエンス全学プログラム)
https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/efforts/ai_and_ds/
これからますます高まるデータサイエンティストの需要
データサイエンスはまだ新しい学問分野ですが、社会や生活を根本から転換するデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められている今、さらに重要度を増してきています。
高校でも2022年度から「情報Ⅰ」の必修化が決まり、これからコンピューターやデータサイエンスの知識は必須になってくるでしょう。優秀なデータサイエンティストの需要は、今後も増え続けることが予想されます。