工学院大学の研究室

未来の豊かなくらしを支える!新しい触媒の研究【触媒化学研究室|工学院大学】

今回紹介する大学の研究室は、様々な製品の原料を作る過程で使われている触媒の開発に取り組む、工学院大学「触媒化学研究室」。消費者の目に直接触れる機会は少ないですが、自動車や家電、衣類、医薬品など、新しい製品が開発される裏側では触媒が活躍しています。

どんな研究をしている? 「触媒化学研究室」

動画で研究紹介(4分)

人々の生活を裏方として支える“要の技術”

触媒とは、別の反応経路を提供して反応を加速させるものです。例えば、八王子駅から東京駅まで歩くとかなり時間がかかりますが、電車に乗れば1時間ぐらいで着きます。同じ出発点から到着点まで、早く着くための新しいルートを供給する役割を果たしているのが触媒なのです。触媒は、原料を作る過程で多く使われており、私たちの生活を裏方として支えてくれています。

触媒化学研究室では、メタンからペットボトルの原料になるトルエンをつくる触媒の開発を行っています。メタンは、天然ガスの主成分。豊富に存在していますが、化学反応を起こしにくい性質なので、触媒の開発が求められています。また、トランス脂肪酸をあまり含まない油脂を作るための研究なども行っており、基礎的な学問という側面と生活に密接した実用的な側面があることも、触媒研究の魅力です。

学生が語る研究室の魅力

「触媒については高校の教科書にも出てきますが、『反応速度を上げるもの』ということぐらいしか説明されません。大学の授業で様々な種類や反応機構があることを知り、その奥深さに興味を持ちました。触媒があるとないでは、全然反応が違います。どの触媒がいいかは、実験してみないとわかりません。実験の量が多くたいへんですが、よいものが見つかったときの達成感は、たくさん実験したからこそ得られるものです」(修士1年)

「触媒の研究は、新しい反応経路を実現できることと、できた反応の生成物を利用できるところが面白いです。私は、メタンを活性化させて、ペットボトルの原料をつくるための研究をしています。メタンの活性化については100年ぐらい前から研究しているようですが、あまりうまくいっていません。反応したとしても2%ぐらいで、90%以上ないと工業化できません。なかなか思うようにはいきませんが、少しでもうまくいくと楽しいです」(学部4年)

先生紹介(工学院大学 奥村先生)

奥村先生は、どんな先生?

「趣味はチェロ演奏と登山です。チェロを始めたのは小学生のときで、大学生の頃は市民オーケストラに参加していました。オーケストラを低音で支えるところが、縁の下の力持ちとして世の中を支えている触媒と似ていて、私に合っています。登山は、登っているときは苦しくてすぐ帰りたいと思うのですが、下山した瞬間にもう一度行きたくなるのです。研究も苦しいですが、何かを見つけたり、完成させたときの達成感を味わうと、またやりたくなるところが登山と似ています」(奥村先生)

「奥村先生はとても話しやすく、実験だけでなく、個人的な相談にも気軽に乗ってくれます」(修士1年)

奥村先生から高校生へメッセージ

「インターネットで検索すれば、すぐに答えが見つかる時代になりましたが、自分の頭で理解することが大切です。自分の力で徹底的に考える学生に来てほしい。10代~20代は、その後の人生を決める重要な時期です。いろいろな体験をして、世界を相手に活躍するというぐらいの意気込みを持ってほしいと思っています」

卒業後の進路

・約2割が大学院へ進学
・就職先は、食品関係、プラスチック製造、自動車関係、触媒メーカーなど

「探究することが好きなので研究職を目指し、大学院に進む予定です」(学部4年)

研究室情報

大学名 工学院大学
学部・学科 先進工学部 応用化学科
研究室 触媒化学研究室
教員名 奥村 和 教授
研究キーワード メタン、ゼオライト、コバルト、機能性材料、トランス脂肪酸
URL https://www.kogakuin.ac.jp/faculty/graduate_school/ma_lab37.html