「貧困、格差社会、人種や民族による差別、性の多様性、児童虐待、DVやハラスメント。現代社会が抱えるこれらの問題は、すべて英文学を通して考えることができます」と杉村教授は言う。それも、19世紀の英文学でだ。「19世紀は、国家と家族に代表される現代社会の基本的な構造ができた時代。一見すると現代日本とはかけ離れていながら、構造は似ている。研究対象として面白いところです」
杉村ゼミが2019年度に取り上げたのは、チャールズ・ディケンズの『オリヴァー・ツイスト』だった。「身寄りもなく、貧困のどん底にある主人公は甘い言葉で犯罪集団に引き込まれます。それは、現在の不安な若者を取り巻く環境に意外にも似ています。時事的な記述ではなく、むしろ文学ならではの表現が『他人事』を『自分ゴト』として考えるきっかけを与えてくれるのです」
実利に直結する研究ばかりがもてはやされる昨今の風潮に、杉村は疑問を呈する。「残念ながら『文学を学んでどうするの?』という声を耳にすることがあります。文学は楽しいものであり、人生を豊かにしてくれるものというのが大前提ですが、それだけではありません。文学作品を精読することで、多様な視点を持てるようになるのです。多角的に物事を捉えられるようになると、自分の人生の捉え方まで変わってきます。さあ、あなたも文学研究を通して、AIに負けない世の中を『読む力』と『創造性』を鍛える冒険に出てみませんか」
基本情報
大学名 | 共立女子大学 |
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学部名 | 文芸学部 |
学科名 | 英語英米文学コース |
教員名 | 杉村 使乃 |
フリガナ | スギムラ シノ |
URL | – |
研究情報
主催ゼミ | 英文学、英語圏児童文学 |
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研究キーワード | 英文学、イギリス文化、英語圏児童文学、ジェンダー、メディア表象、アダプテーション |
最近の研究・論文 | – |
実績等 | – |