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【スマート家電】で生活が変わる。 企業や大学でも研究が進むスマートホームとは

テレビやエアコン、冷蔵庫や照明機器など、私たちの身の回りには数多くの家電が存在しています。それらの開発は、主に家電メーカーなどの企業が取り組んできました。しかし先端テクノロジーを用いた「スマート家電」が普及するのにつれて、その開発、研究に協力する大学も増加しています。大学が取り組む家電開発とはどのようなものなのでしょうか。

人々のライフスタイルを支える「スマート家電」

人々の生活を支える家電は、技術力の進歩に合わせて発展を遂げてきました。しかしその家電業界は、「IoT(モノのインターネット)」と、「人工知能(AI)」、この二つのテクノロジーによって、さらに大きな変革が起ころうとしています。

IoTとはなにか?

従来、パソコンやゲーム機などの機器はスタンドアロン(ネットワークにつながずに単独で使う機械)であり、1台の中で完結するものが主流でした。しかしインターネットが普及した現在では、機器がネットワークに接続することは当たり前になっています。

携帯電話や腕時計も同様です。かつて通話機能しか持たなかった携帯電話は、今ではネットワークへの接続を前提としたスマートフォンに変化しています。時間を計るだけだった腕時計も、メールの受信通知を表示したり、身体の健康状態(バイタルデータ)を計測したりするスマートウオッチが普及し始めています。

このように、あらゆるものがインターネットにつながることをIoT(Internet of Things)と呼びます。そして、このIoTを搭載した家電は、一般的にスマート家電と呼ばれています。家の外から操作できるエアコンや炊飯器はもちろん、ネットの動画や天気予報にアクセスできるスマートテレビもスマート家電のひとつといえます。

家電業界にもAIの波が押し寄せている

ネットワークにつながるだけでなく、AIを組み込んだスマート家電も登場しています。従来の家電は、ユーザーの操作に従って動きますが、AI搭載のスマート家電は使用環境を機械自身が学習し、最適な選択を行ってくれます。

例えば、AIを搭載した冷蔵庫は、保存する食材をセンサーで分析し、適切な状態で管理します。また、部屋の間取りを記憶して掃除するロボット掃除機なども、ごみのある場所を自ら予測して家の中をきれいにします。

スマート家電同士がつながりあって実現する「スマートホーム」

従来の家電とは大きく異なるスマート家電。その登場によって、人々のライフスタイルはどのように変わっていくのでしょうか。

帰宅に合わせて照明が点灯し、冷暖房機が作動する

部屋を照らす照明や、室温を調整する冷暖房機は、生活をするうえで欠かせない存在です。これらの家電がAI・IoT技術を搭載し、連携しあうことで完成するのが、「スマートホーム」です。

スマートホームでは、最小限の操作で最大の効果を上げることが可能になります。例えば、外出から帰宅するとき。従来は、玄関のカギを開けて、照明をつけ、冷暖房機のスイッチを入れる必要がありました。

しかしスマートホームであれば、ユーザーが持つスマートフォンの位置情報を、家庭のエアコンと共有することも可能。外出中の住人が自宅に近づいたと認識したら、自動的にエアコンにスイッチが入り、家の中を最適な温度に調整しておくこともできます。あるいはドアに専用のアプリをインストールしたスマートフォンを近づけるだけで、自動的に開錠したり、帰宅と同時に照明が点灯します。

防犯や介護にも役立つ

玄関のカギなどは従来、家電には含まれないものでした。しかし玄関のカギとスマートフォンが連動させれば、物理的なカギの代わりにスマートフォンで施錠、開錠が可能となります。このスマートロックという仕組みを使えば、いつ誰が玄関を開けたかの記録が残るので、「子どもが学校から帰った」などの確認や、不審者がカギを開けたことも通知されます。つまり、玄関のカギのようなものまで家電となるわけです。

カギが家電になる利点はそれだけではありません。家政婦、家事代行サービスなどを利用していると、留守中に家の中に入ってもらうことになります。従来なら物理的なカギを渡しておく必要がありましたが、スマートロックであれば、「今日は家政婦が来るから、家政婦のアカウントでカギを開けられるようにしておく」といった設定も可能になり、家に入った時間、仕事を終えて帰った時間も把握できます。

防犯や介護にはスマートセキュリティーカメラも役立ちます。カメラに人の体温などを検知する人感センサーが搭載されていれば、第三者が屋内に侵入すると、自動的に通知したり、録画して記録を残せます。

少子高齢化が進み、自宅で介護を行う人も増えていくことも考えられています。だからといって、24時間常に一緒にいて介護するわけにもいきません。しかし、スマートホームなら買い物中に高齢者を一人にするときがあっても、スマートセキュリティーカメラを使って様子を確認したり、話しかけたり、あるいは大きな物音が生じた場合に通知されたりします。

購入後も進化し続ける家電に

今、家電業界は大きな進化を迎えつつあります。従来の家電は、決められた作業だけを行ってきました。従来の冷蔵庫は、購入時のままの機能をずっと使い続けるものであって、途中で新しい機能を追加することは基本的にはできません。

それに対してスマート家電は、新しい機能を追加できるのが当たり前になるでしょう。それは、アプリを追加することで機能が増えていくスマートフォンと同じような形といえます。一人ひとりに適した機能を追加できるスマート家電は、私たちの暮らしを快適にするために欠かせないものとなるでしょう。

「スマート家電」について学べる大学の学部、学科

近年、大学ではAIやIoTに関する研究が盛んに行われていますが、その中にはスマート家電の開発に取り組む大学の学部学科もあります。

家電メーカーの技術者から技術を教わる神奈川工科大学

神奈川工科大学の創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科では、4年間の学習を通して家電開発に必要な技術やものづくりの基礎を学ぶことができます。また、企業との連携研究を通して、プロジェクトの進行やマーケティングなどを学べることも、同学部の特徴といえます。

・神奈川工科大学 創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/creative/homeElectronics/

パナソニックと共同開発をする千葉工業大学

千葉工業大学では、大手の電機メーカーであるパナソニックと連携し、「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」を設立しています。障害物検知センサーを搭載した次世代ロボット掃除機「ルーロ」も、ここでの研究をもとに開発されました。

ここでは、パナソニックの研究者と学生が連携しつつ、家電開発にかかわるさまざまな研究が行われています。このように、学生時代から大手企業の社員と協力して、家電開発に取り組むのもの強みといえます。

<NEW REAL 実学の先へ。CIT×Panasonic>

・千葉工業大学–パナソニックと共にロボットを研究開発。
https://www.it-chiba.ac.jp/newreal/

スマート家電の機械そのものを開発するだけではいけません。ネットワークにつながる家電は、多くの場合、そのデータはインターネットの先にあるクラウドに集約、管理されることになります。

つまり家電単体で考えるのではなく、クラウドを含めたサービス全体を俯瞰(ふかん)しながら、利用者にとっての便利さ、使い勝手の良さなどを追求しなくてはいけません。また、外部からのサイバー攻撃から守るためのセキュリティーに関する知見も必要です。

これからの家電開発には、高度な先端技術を持った人材が求められます。将来家電に関わりたい人は、そのような点を意識して大学を選んではいかがでしょうか。

『スマート家電開発』の活用が期待される分野

家電、住宅建築、クラウドサービス、ホームセキュリティー