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デジタルビジネス時代の【経営学】。 AI、IoT、DXでどう変わる?

経営学は、企業が円滑にビジネスを展開するための方法を研究する学問です。しかし人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、仮想通貨に代表される、従来は存在しなかったテクノロジーの普及や、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、企業のビジネスにも変化が生じつつあります。そのような中で経営学にはどのような視点が求められるのでしょうか。

経営学が生まれたわけ

経営学のきっかけといえるのは、「科学的管理法の父」と呼ばれているフレデリック・テイラーです。20世紀、機械が工場に入るようになって、生産性は大きく向上しました。

当時は、生産量に応じて従業員の工賃が変わっていたので、生産量が増えた分従業員の工賃も急上昇しました。ところが経営者側は「それでは利益も減る」と、工賃全体の引き下げに踏み切りました。すると、今度は「生産性が上がると工賃が下がるのは嫌だ」とサポタージュ(故意に怠けること)するようになります。

そこで、テイラーは、業務の効率化を図るとともに、労働に見合った給金を提供する「差別的出来高給制度」を提案、実施しました。これが経済学の始まりともいえます。

デジタルな社会に向けて経営も大きく変化

そのようにもともとの経営学とは、会社という組織、人や設備、資産などをいかに効率よく運用するかというものでした。しかし、AIやIoTがもたらすとされている第4次産業革命においては、既存の経営学では対応できない局面が現れ始めています。

形のある物理的な製品から形のないサービスへ

好きなミュージシャンの新曲を買いたいとき、従来であれば実店舗でCDを買ったり、レンタルしたりしていました。しかしCDの売れ行きが低下している現在では、楽曲のダウンロード購入やサブスクリプションなどが中心になっています。

同様に、映画鑑賞も動画配信サービスに、小説や漫画も電子書籍に移りつつあります。このように、市場は物理的な取引からデジタルな取引へと移行し始めています。

客室を持たないホテル業が登場

このデジタル化は、企業のビジネスでも生じています。例えばホテル業。本来のホテルとは、所有する客室を利用客に貸し出すことで、利益を得ています。客室数が多ければ多いほど、利用者が増えれば増えるほど、ホテルの利益は上がります。

ところがそのビジネスモデルが大きく変わりました。2021年現在、登録している物件がもっとも多い企業は、民泊仲介サイトを運営するAirbnbです。民泊とは、一般の人が、使っていない部屋を旅行客などに貸し出すサービスです。

Airbnb自身が客室を持っているわけではなく、すでに存在している物件の所有者と契約することで、業界トップの登録物件を所有することに成功しました。これはまさに所有資産のデジタル化といえます。

Airbnb
https://www.airbnb.jp/

新興企業が大手企業を超えていくデジタル・ディスラプター

同様にタクシー業界も、現在ではスマートフォンなどのテクノロジーを活用した配車プラットフォームのUberにシェアを奪われています。

ドライバーや自動車を自社で抱えるタクシー会社と違い、Uberは自動車を所有する一般人をドライバーとして使います。一般のドライバーが、時間の空いたときに、移動したい人を乗せて運ぶのがUberのサービスです。(ちなみに、白タクと呼ばれるこのような行為は日本では認められていません)

その他にも、1994年に設立し、インターネット上で小売業を展開しているAmazonは、地域に根付いていたスーパーマーケットやテレビ通販業界に大きく差をつけて発展し、現在では世界有数の大企業になっています。

このように、テクノロジーを活用することで、既存の産業に破壊的な変革をもたらす企業のことを、デジタルによる破壊者を意味する「デジタル・ディスラプター」と呼びます。

Uber
https://www.uber.com/

将来が誰にも予測できない時代の経営は?

ある日突然、聞いたこともない新興企業が現れ、従来とはまったく違うビジネスを展開し、既存企業を危機的な状況に追い込む。そのような現象がいろいろなところで起こり始めています。つまり、誰にも将来が予測できないような時代が到来しているのです。

このような大変革の時代、既存企業も安穏としてはいられません。そこで重視されてきたのが、テクノロジーを活用して、ビジネスのありかた、仕組みを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)であり、それを実現したものがデジタルビジネスです。

このように企業の活動は常に競争の中で変化し続けています。そして、そこで起こっていることはすべて経営学の教科書、研究対象でもあります。経営学を習得することで、現実のビジネスで起こっていることを深く理解できるようになるでしょう。それには、会社組織のありかただけでなく、社会の状況や課題、SDGsやESG経営、マーケティング、新しいテクノロジー、セキュリティー、未来への展望など、広い視点を身につける必要があるといえます。

デジタルビジネス、経営について学べる大学の学部

現在、日本中に存在する経済大学や大学の経済学科では、ICTなどのテクノロジーを重視した研究が行われています。拓殖大学の経営学科IT経営コースでは、消費者の動向などを記録したビッグデータを活用することで、市場調査やネットビジネスの研究を進めています。

経営学や企業のビジネス戦略に興味のある方は、ICTやAI、IoTなどのテクノロジーを含めつつ、新時代のビジネス戦略について研究してみてはいかがでしょうか。

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