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今【半導体】が熱い!世界中で枯渇するほど需要が高まる半導体の未来

現在、「半導体」にかつてないほど熱い視線が注がれています。半導体は、ICT機器を構成する中心部材にも使われていますので、世界レベルで見ると、先進半導体の争奪戦ともいえる状況になっています。これからの社会発展には欠かせないパーツである半導体、そして日本国内の半導体の技術者について考えてみましょう。

「半導体」はSociety 5.0の要

今、半導体不足が世界中で問題になっています。自動車などは、半導体不足により、車両の生産が一時止まるほど供給に問題が出てしまい、ニュースでも取り上げられました。

これからの社会では、半導体がますます重要になるでしょうから、半導体のエンジニア(技術者)の需要は高まるはずです。もし私たちの暮らしを快適で楽しくする機械に興味があるなら、大学などで半導体を学び、エンジニアの道に進むのもよいでしょう。

「半導体」とはいったい何?

そもそも「半導体」とはいったい何でしょうか。

私たちが半導体そのものを見ることはあまりありませんが、身の回りの電化製品の中にはたいてい含まれています。半導体とは、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の物質。半導体が電気を通したり通さなかったりすることで、オン/オフの切り替えがコントロールできるようになるため、電化製品には欠かせないものとなるのです。

現在、特に不足しているのは、高度な計算に用いられる先進半導体で、パソコンやサーバー、スーパーコンピューターがその代表です。またスマートフォン、ゲーム機、テレビ、Wi-Fiルーターなど多くの人が日常的に使っている機器にも使われています。

これら機器の内部で中心的な役割を果たしている半導体は、日本が提唱するこれからの未来社会像「Society 5.0」を支えるパーツといえる、なくてはならない技術なのです。

将来増えると見込まれる半導体需要

これから電気自動車(EV)、コネクテッドカー、自動運転車など、新しい機能を備えた自動車が増えてくると見込まれていますが、旧来の自動車に比べると、1台の車両に搭載される半導体の数は何倍にも増えていくといわれています。

半導体の搭載量が増える話は自動車に限ったことではありません。同様に、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット=ネットワーク機能)が搭載される家電製品が増えてくるでしょう。新しい技術を搭載した製品が私たちの身の回りに増えていけば、そこで使われている半導体の数も増加していくことになります。

また社会を支えるさまざまなインフラ、例えば、物流や交通システム、銀行や株式市場などの金融、5Gといわれる次世代通信、医療や福祉など、さまざまな分野でAIなどの新しいテクノロジーの活用が期待されています。そしてもちろん、その実現に半導体は欠かせません。

つまり、新しい社会であるSociety 5.0を迎えるには、半導体の増産は重要なテーマといえるのです。

先進「半導体」の不足で世界中が混乱

ところが現在、これほど半導体が不足している原因は、いくつかの要因が重なっています。

ICT機器の増加で、需要も拡大

要因のひとつはICT機器利用の広がりです。スマートスピーカーやスマートウオッチ、スマートメーターなどのIoT機器だけでなく、公共スペースで使われるデジタルサイネージ(電子看板)、電子マネー、各種センサーやカメラもネットにつながるようになり、デジタルデータ処理をする機械が爆発的に増えていることを考えると、ICT機器の増加を実感できるのではないでしょうか。

さらにコロナ禍で不足に拍車

また、コロナ禍でリモートワーク、巣ごもりが増えたことも要因です。リモートワークにはパソコンが欠かせません。また巣ごもり生活をすると、家族でゲームなどを楽しむ機会も増えます。

その結果、家庭用ゲーム機が世界的に入手困難になったり、パソコンが注文してから入荷まで半年以上かかるといったように社会に影響が出ていました。

「半導体」は分業で作られる時代

この半導体は、現在、半導体チップを設計から生産まで行うメーカーは少なくなる傾向にあって、いくつかの会社が分業して製造するパターンがほとんどです。設計だけを行うメーカー(ファブレス)と製造を専門にするメーカー(ファウンドリー)に分かれ、水平分業が細かくなりつつあります。

例えばCPUと呼ばれるパソコン用半導体で有名なINTEL社は、設計から製造まで自社で行っていますが、Apple社やAMD社はファブレス、つまり設計だけを行っています。そしてApple社やAMD社のCPUは、主に台湾のTSMC社が請け負って製造しているのです。

その理由としてはTSMC社が、世界でもっとも高い集積度で半導体を製造する技術を持っていることが挙げられます。集積度が高ければ、それだけ高性能な先端半導体が製造できます。そのためTSMC社だけに製造が集中してしまい、先進半導体の供給が追いつかないことに拍車をかけている状況となっているのです。

TSMC
https://www.tsmc.com/japanese

日本は多くが撤退。しかし復活に期待

かつては半導体の製造で世界のトップシェアを持っていた日本企業ですが、今では多くが撤退しています。ただ今でも、キオクシアが主にフラッシュメモリを、ソニーセミコンダクタソリューションズはカメラなどで使われるイメージセンサーやLSIを、ルネサスエレクトロニクスはマイコンとLSIを生産している日本企業が残っています。

なお、ルネサスエレクトロニクスが生産するマイコンは、自動車にも多く使われていて、半導体不足のさなか2021年3月に起きた茨城県那珂工場での火災は大きな影響を起こしていいます。半導体生産の重要性が改めて認識されています。

製造そのものではなく、半導体を製造するための装置と材料には、今でも多くの日本企業が関係しており、工場などで使われる設備(製造やテスト用の機械など)、あるいは製造に用いる素材などの分野で、日本はとても高い技術を持っています。

このような状況を踏まえ、先進半導体の製造を海外に頼りすぎることにリスクを感じる声も少なくなく、国内での自給率を上げようという動きが始まっています。

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「半導体」について学べる大学、学部

半導体開発は現在でも熾烈(しれつ)な争いを続けている先進分野であり、今後は人材の確保も重要になってくるはずです。大学で半導体関連技術を学ぶのは、やはり工学部や理工学部で電気電子系を目指すことになります。

東京大学は台湾TSMCとアライアンスを結び、半導体に関する研究を共同で行うことを2019年に発表しています。大学に半導体デバイスの研究室があることを確認して選ぶと、より学びやすくなるでしょう。

半導体技術者検定という資格もある

また、半導体技術者検定と呼ばれる、一般社団法人パワーデバイス・イネーブリング協会が主催している民間資格もあります。エレクトロニクス1級から3級まであり、3級では大学や高等専門学校などの学生でも受けやすく「半導体チップの開発や製造、基礎知識がある人材と認定」されます。

半導体技術者検定
https://www.secc.pdea.jp/

『半導体』の活用が期待される分野

医療、ヘルスケア、予防医療、介護、衣服やファッション、警備、建設、建築、製造業、物流、など